JOURNAL #4572025.07.29更新日:2025.07.30

ヘリコプターで命を救う_ARROWSパイロットのリアルストーリー【#2】

広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

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空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”。名のとおり、私たちの支援活動でなくてはならないのが「」を使った機動力です。メンバーの迅速な出動はもちろん、駆けつけることが困難な地域からの救出や傷病者の搬送など、一刻を争う緊急支援活動の現場を支えてきました。
今回は空飛ぶ捜索医療団の仲間であるヘリコプターパイロットの小林に、これまでの支援活動でのエピソードやパイロットになったきっかけを聞きました。

\2分でできる被災地支援/
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今年で36年目。飛行時間 通算6,370時間_パイロットになったきっかけは?

きっかけというと、もう50年以上前の小学生のころの話しになりますが、自宅近所の田んぼに農薬散布をするヘリコプターが来ていました。そのヘリが田んぼに来るたびワクワクしながら家から飛び出し、写真に納めていました。当時は望遠レンズなんて買えなかったので、どうしたら機体を大きく写せるのか試行錯誤していました。
あまりにも夢中になり農薬まみれになりながら機体に近づくので、パイロットさんから「近寄るな!」と、いつも叱られていました。
乗りたくて乗りたくて仕方なかったし、何よりとてもかっこよかった。

そんなふうにいつも間近に見ていたのがヘリコプターでした。だから、飛行機というよりはヘリコプターが好きです。

田んぼに農薬を撒くヘリコプターの写真

社会人になってから数年間は測量士として測量設計事務所で働いていました。
転機を迎えたのは、当時の各都道府県の取り組みです。県単位でヘリポートを設置する流れになり、自宅近くにも設置されました。そのことがきっかけで、少年時代の「ヘリコプターのパイロットになりたい」という夢が蘇りました。「蘇った」というよりも、もう一度「燃え上がった」という感覚に近いと思います。
周囲の反対を押し切るかたちで渡米し、29歳のころにライセンスを取得。それ以来、パイロット一筋で通算6,370時間以上フライトしています。

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支援活動に携わるのはいつからですか?

私は2011年3月に起きた東日本大震災翌日から初めて支援活動に出動しました。
空飛ぶ捜索医療団を運営しているピースウィンズは以前から静岡県袋井市と災害時の支援連携協定を結んでいたので、大西代表らとともに袋井市で備蓄していた災害非常用の毛布などの支援物資をヘリに積み込み、気仙沼までピストン輸送をしました。

支援物資をヘリコプターに載せる作業の写真

震災から2年以上が経っても、被災地では依然として陸路の修復が遅れていたエリアもあり、患者搬送には空からの支援が必要でした。そのため2013年4月からヘリを気仙沼に置き、私とほかのパイロットが365日シフトを組み、搬送支援を続けていました。

患者搬送のためフライト中の小林の写真

その後、2016年から宮城県がドクターヘリの運用を開始し、状況が落ち着いたタイミングで私たちもピースウィンズが本部を置く神石高原町に戻りました。

支援活動の記録詳細はこちらをご覧ください▶【感謝を原動力に】東日本大震災 特設ページ

令和2年7月豪雨_偶然発見した、取り残された人々の救出

2020年7月4日、熊本県と鹿児島県に大雨特別警報が発令されたことを受け、医師・看護師やレスキュー隊、救助犬とハンドラー、パイロットなど合わせて25人・3頭で出動しました。メンバーはヘリ2機・車両6台に別れて、河川の氾濫が発生している熊本県の球磨川周辺の被災地に入りました。

河川の氾濫が発生している様子の写真
この水害ではのちの調査で球磨川の堤防決壊2箇所、堤防越水3箇所、溢水8箇所など甚大な被害が確認された
安全な病院まで患者さんを搬送する様子の写真
近隣集落の急病患者さんをヘリコプターで搬送する医療チーム

発見のきっかけは、取り残されたペットたちの救出

緊急支援活動を開始してから数日後、避難されていた方々から、「家に犬や猫たちを残して来てしまい、とても心配している。レスキューしてほしい。」と要請を受けました。公的機関ではこういった要望への対応は難しいですが、私たちには「ペットも大切な家族」であるという共通認識があります。もちろん快諾し、犬猫のお世話も得意なレスキュースタッフを連れ、飛び立ちました。

ペットの救出に向かうヘリコプター

着陸し指定された住所まで向かっている途中に人の姿を発見。その集落の住民全員の避難は完了していて人は居ないとされていましたが、実は、さらに山奥で暮らしていた住民の皆さんが取り残されていたことが、このとき分かったのです。
住民の皆さんは徒歩で下山し、小学校の体育館に避難されていた状況でした。私たちはすぐさまヘリで搬送をする段取りを組み、6回ほど往復して17人全員を安全な避難場所まで搬送しました。

取り残されていた住民を救出したときの写真

住民の方々の救出と同時にペットの捜索・救助ももちろんチームに分かれて活動にあたりました。発見当初はみな、久しぶりの人の気配に興味を示してくれたものの、やはり家族とは違う人間の姿に驚いてしまい、ある猫ちゃんは奥に隠れてしまいましたが、無事にご家族のもとに送り届けました。

猫の救出の写真
「お父さんとお母さんが待っているよ」と話しかけながら救出にあたる
無事に救出した猫の写真
驚いた様子ですが、なんとか無事に救出できた猫ちゃん
取り残されていたペットの救出
ご自宅の玄関でご家族の帰りを待っていたワンコも救出
ペットを飼い主さんに引き渡す写真
無事に飼い主さんの元へ送り届けました

令和2年7月豪雨、当時の活動の様子はYouTube動画でもご覧いただけます▼

これからも安全に「一秒でも早く、一人でも多く。」

災害支援への出動は、特に豪雨被害では悪天候が数日間に渡って続くことがあり、そのなかでのフライトは緊張する瞬間の連続です。けれど、被災地に近づけば近づくほど「やらねば、助けなくては」という思いが湧きあがります。
子どものころからあこがれていたパイロット。その夢が、人を助ける力になれている日々に感謝しています。

これからもパイロットとして、命を助ける一助になれればと思っています。

毎月の定額寄付で、災害支援活動に参加してください

災害時にいつでもどこへでも迅速に駆けつけ、被災地に必要な支援を届けられるのは、約2,100名の「ARROWSサポーター」の存在があるからです。
月一回、定額でのご寄付は、現在も復旧・復興のただ中にある能登半島地震・豪雨被害への支援活動の大きな力にもつながります。あなたも、ARROWSサポーターで活動に参加してください。

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空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"ジャーナル編集部です。災害に関する最新情報と、災害支援・防災に関わるお役立ち情報をお伝えしています。

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