JOURNAL #2802023.12.15更新日:2024.08.30
広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
みなさんは、災害支援団体に寄付したことはありますか?
私は平成30年7月の広島県の豪雨災害で実家が被災した際、災害支援団体の方にお世話になったこともあり、訪問営業を受けたNPOに対して少額の寄付を始めました。
災害支援団体は数多あり、活動内容や寄付の形態・方法も異なります。今回の記事では、災害支援団体の選び方をまとめてみましたので、みなさんもぜひ参考にしてみてください。
名前の通りですが、災害支援団体とは、地震や火災、洪水、テロなどの災害が発生した後、被災地で支援活動を行う団体です。
団体によって活動内容は異なりますが、例えば以下のような支援が行われています。
活動の対象範囲も団体によって異なり、地震や洪水などの自然災害に対して取り組んでいる団体もあれば、世界各地の紛争地への支援を行っている団体もあります。
災害支援団体の総数は公開されていませんが、熊本地震では300団体以上が支援活動に参加したことから、地域や活動内容・団体規模は異なりますが日本各地に多数の災害支援団体が存在していることが分かります。
また、今回の記事では民間団体に限定して取り上げていますが、DMATなど政府の運営している災害支援チームも存在します。DMATの詳細について記載している記事も参考にしてください。
多くの災害支援団体が存在するため、どこに寄付をすればよいのだろう…と悩んでしまいますが、どのように支援先を決めればよいのでしょうか?ここでは、災害支援団体の選び方を5つご紹介します。
民間の災害支援団体には、NPO法人(Non-Profit Organization)とNGO法人(Non-Governmental Organization)があります。一般的な定義と同じくどちらも非営利目的で災害支援活動を行っていますが、日本においては、”主に国内の課題に取り組む団体をNPO”、”日本以外も含む世界の課題に取り組む団体をNGO”と呼ぶ傾向にあります。NGO法人の活動拠点は団体によって様々で、地震のあったネパールやモロッコ、インドネシア、トルコ等々、災害があれば世界中に赴いて支援活動を行います。
例えば、”いざというときに自分や親族を助けて欲しい”という思いから日本で活動するNPOを選ぶ、”過去に旅行で訪れた、思い入れのある特定の国の支援をしたい”という思いからNGOを選ぶ、などと考えてみてください。
寄付先を選ぶ際は、知名度や規模などではなく、”寄付先として信頼できるかどうか”をきちんと判断しましょう。ご自身の寄付金が活動の中で適切に使われているか、その事業が本当に社会に役立っているのか、などを判断するためです。判断のポイントとしては以下があります。
企業であっても同様ですが、寄付先となる団体が不祥事や犯罪事件に関わっている可能性もあります。どのような企業・団体から支援を受けているか・繋がりがあるのかなども判断のポイントとして見てみてください。
寄付は義務ではないため、寄付先を選ぶときに大切なことは「団体の活動を支援したい」という気持ちです。具体的な例は後述しますが、災害支援団体と言っても詳細な活動内容は異なるため、ご自身が活動に共感できる・興味を持てる団体に寄付をすることがおすすめです。
実際に災害支援活動を行う担当者の素性・人柄を知ることも、団体選びの参考になります。例えば、資格を持った医師や看護師が多く所属している、ペットを飼っているメンバーが多く動物の保護にも力を入れている、などです。
団体のメディアで作成されたインタビュー記事や、メンバーそれぞれが情報発信しているSNSなどから確認できるかと思います。
寄付にあたっては「金額と形態」と「利用する媒体」を確認しておきましょう。
1円から寄付を行える団体もありますが、インターネットでの手続きの仕様上、一定以上の金額が設定されているケースが多いです。寄付の最低額を確認し、ご自身の想定予算に合っているかどうかを確認しましょう。
またタイミングとしては、単発で行う寄付と、毎月一定額で支援し続ける定額での寄付があります。
寄付の方法としては、従来通り寄付先の団体のホームページからフォームなどで支援をする以外にも、最近ではふるさと納税を利用したり、Yahoo!ネット募金やReadyforなどの募金サイト経由で寄付をしたりすることも可能です。返礼品を受け取れる・ポイントを利用できるなど、それぞれの方法でメリットがありますので、比較検討してみてください。
災害支援団体への寄付では、寄付金の用途を選択できるケースがあります。例えば、被災地に食料を支援したいのか、急病人に利用する医療キットを支援したいのか、などです。また、お金以外に物品の寄付に対応している団体もあります。特定の使い途を支援したい場合は合わせて確認してみてください。
災害支援団体の支援先の選び方をご紹介しましたが、具体的にはどのような団体があるのか、おすすめの災害支援団体をご紹介します。
空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”は、航空機やヘリコプター、船などの輸送手段を活かした救助・救命活動を行う、医療を軸とした災害緊急支援プロジェクトです。特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営しています。
医師や看護師が多く所属しており、例えば国内では、令和6年能登半島地震や西日本豪雨の発生時、急病患者の診察・搬送、行方不明者の捜索、物資提供などを行いました。被災地の人を救う活動はさまざまな企業に共感されており、公益財団法人トヨタ財団からも助成を受けています。
当法人への寄付は公式ホームページだけでなく、ふるさとチョイスGCF、READYFOR、Yahoo!ネット募金などからも可能です。
団体名 | 特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン |
会長 | 大西健丞 |
支援実績 | ・モロッコ大地震 ・ハワイ・マウイ島 山火事 ・石川県能登地方地震 など 過去の活動実績は活動の記録をご覧ください。 |
活動報告方法 | 公式ホームページ、Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、LINE、Yahoo!ネット募金、Readyfor、メルマガ |
最低寄付額 | 100円~ ※YAHOO!JAPANネット募金の場合 |
寄付形態 | 単発寄付、継続寄付 |
支援物資の選択 | 可能 |
ワールド・ビジョン・ジャパンは、キリスト教精神に基づいて支援活動を行っているNGO法人です。1950年9月に立ち上げられた団体で、主にこどもを対象とした支援を行っています。1960年代には、日本で両親を亡くした子供たちに教育支援に取り組み、国連経済社会理事会に公認団体として登録されています。約100か国で災害/紛争発生時に支援活動を展開しており、支援物資の配布や住居を用意するほか、精神的なショックを和らげるための遊びの場や教育を提供。また、子どもたちが安心して暮らせるように防災や減災の研究にも取り組んでいます。
団体名 | 特定非営利活動法人 ワールド・ビジョン・ジャパン |
ジャパン会長 | 片山信彦 |
支援実績 | 熊本地震、東日本大震災、インドネシア地震など |
活動報告方法 | 公式ホームページ、Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、LINE、メルマガ |
最低寄付額 | 1,000円~ ※公式サイト募金の場合 |
寄付形態 | 単発寄付、継続寄付 |
支援物資の選択 | 可能 |
AAR Japanは1979年に日本で誕生した国際NGOです。「困ったときはお互いさま」を合言葉に、難民支援や地雷・不発弾対策、障がい者支援、災害支援、感染症対策、国際理解教育など幅広く活動しています。災害時には、食糧や水などの物資の提供をメインに行っているほか、被災者の心身ケアなど中長期的なサポートも行っている団体です。立教大学社会学部社会学科の教授をされている方が、会長を務めています。
団体名 | 特定非営利活動法人AAR Japan |
会長 | 長 有紀枝 |
支援実績 | アフガニスタン地震、モロッコ地震、九州北部大雨 |
活動報告方法 | 公式ホームページ、Facebook、Instagram、Twitter、YouTube |
最低寄付額 | 3,000円~ ※公式サイト募金の場合 |
寄付形態 | 単発寄付、継続寄付 |
支援物資の選択 | 不可 |
レスキューストックヤードは、被災者の支援や防災に関わるノウハウ提供、過去の災害の経験を活かして災害に強いまちづくりをサポートしているNPO法人です。被災地を応援したいと願う市民の方とのネットワークを大切にし、市民主導型で30か所を超える災害支援を行ってきました。
東日本大震災では、ボランティアに駆けつけた中高生と一緒に炊きだしを行い「現地で温かいものを初めて食べた」と評判に。また、共有スペースの「きずな喫茶」や「きずな工房」を立ち上げて、被災地の方々が快適に暮らせる場を提供しました。
団体名 | 特定非営利活動法人レスキューストックヤード |
会長 | 栗田 暢之 |
支援実績 | 東日本大震災、西日本豪雨水害、ウクライナ危機 |
活動報告方法 | 公式ホームページ、Blog、Twitter、Facebook |
最低寄付額 | 3,000円~ ※公式サイト募金、単発寄付の場合 |
寄付形態 | 単発寄付、継続寄付 |
支援物資の選択 | 不可 |
最後に災害支援団体への寄付に関して、よくある質問をご紹介します。
団体によって異なりますが、物品の寄付を受け付けている団体もあります。寄付の対象としては衣類や洗剤、マスクなどの日用品が多いです。上記でも物資提供を受け付けている団体もあり、そのほか、例えば一般社団法人日本リ・ファッション協会では、衣類や生活用品の寄付を受け付けており、被災地に届けてもらえます。寄付したいものがあれば受け付けている団体を探してみましょう。
現時点では、災害支援に関わる寄付先全てをまとめたプラットフォームはありません。寄付先の団体を一覧から探したい場合は、災害支援団体のネットワークサイトをチェックしてみましょう。例えば東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)では、東日本大震災支援に参加している516団体(※2023年5月現在)を一覧で確認できます。また、防災や被災地に取り組む支援プロジェクトをCAMPFIREやREADYFOR、Yahoo!ネット募金などのプラットフォームから探すことも可能です。
急病患者の搬送や物資の確保、避難など、災害発生時に必要とされる対応を行うには個人では限界があります。また、緊急時には医療が逼迫し、公共の機能だけではどうしても不足してしまいます。民間で活動をしている災害支援団体に寄付を行うことで、緊急時に適切な救助・医療活動を安定してより多くの人々に届けることが可能になります。
また、災害救助に関わらず、寄付によっては以下のようなメリットがあります。
基本的にNPO法人やNGO法人の寄付は好きなときにやめることができます。寄付をやめる際の手続きの方法は団体ごとに異なるため、ホームページの記載を確認するか、お問い合わせをしてみてください。寄付を始めるタイミングで、退会方法についても確認しておくと安心です。
災害支援団体とは、被災地で支援活動を行っている団体です。多くの災害支援団体が存在するため「信頼できる団体か」「支援の形態を選べるか」「最低寄付額が妥当か」など、今回ご紹介した観点から支援する団体を決めましょう。活動に共感できる団体があれば、ぜひ支援してみてください。
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空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
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