JOURNAL #4402025.05.26更新日:2025.05.27

【岩手県大船渡市 山火事】発災から3ヵ月。復興に向けて新しい暮らしを支える

広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

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新たに建てられた仮設住宅。すぐ裏手の山には、山火事で焼け焦げた木々が今も残っています

岩手県大船渡市で発生した山林火災から3ヵ月が経過しました。発災直後、現場にいち早く駆け付けた空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の緊急支援チームは、物資支援をはじめ、避難所の生活環境の改善や、看護師を中心とした健康相談など幅広く被災された方々を支え、現在もカタチを変えて支援を続けています。

新たな住まいでの一歩を後押し、生活家電の支援を実施

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家電の受け渡しについて、申込者に丁寧に説明するスタッフの様子

大船渡市内では、住宅が全壊もしくは半壊した世帯が86世帯。公営住宅やみなし仮設住宅などの民間賃貸住宅に入居し、今なお避難生活を余儀なくされている方がいるのが実情です(4/4付 大船渡市の発表より)。 空飛ぶ捜索医療団では、これまで積み重ねてきた復旧・復興支援の経験を活かし、被災者の方々の生活再建へ向けたサポートにも力を入れています。

発災後から大船渡市と連携し、住家を焼失し仮設住宅で生活されている方々を対象に家電支援の準備を進めてきました。そして5月23日から25日にかけては、入居が始まった旧蛸ノ浦小学校と、旧綾里中学校の仮設住宅で、合わせて30世帯の方々に家電をお渡ししました。

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家電配付会場は、仮設住宅のすぐ近くにある体育館をお借りして実施しました

配付したのは、県が支援を進めている家電以外で日常に欠かせない家電・家具類。そのほかにも一般社団法人 災害時緊急支援プラットフォーム(PEAD)と協力して家電設置用の棚も一緒に用意しました。

その経緯について現地で家電配付会の調整を行った空飛ぶ捜索医療団の二宮真弓は、「これまでの支援現場では家電を床の上に直接置いていた方も多かった。仮設住宅でも衛生的な環境で過ごしてほしい、という思いでPEADさんと棚の準備も進めました」と、話してくれました。

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組み立てが難しい棚は、すべてスタッフが事前に作業してから入居者へお渡ししました

今回、空飛ぶ捜索医療団が用意したのは主に小型家電です。必要な支援を選べる“セレクト制”としたため、配付された家電は人によってさまざまです。なかでもこれからの季節に向けた扇風機や、日常に欠かせない掃除機、またこの時期でもテーブル代わりに使いやすいこたつなどが特に人気で、「引っ越し作業後に使うので…」と話しながら、受け取ったばかりの掃除機をその場ですぐに開封し、組み立てる人も。新しい生活のスタートに向けて、それぞれに必要な準備を進めている様子がうかがえました。

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「スティック型掃除機は場所も取らないのでありがたいです」と話してくれました

特徴的だったのは、「両面魚焼きグリル」が多くの方に選ばれたこと。「大船渡をはじめ、海産物が豊富な地域では魚を焼いて食べるのは生活の一部。支援物資にぜひ加えては?」と、石川県の能登・珠洲市で支援活動を行うスタッフからのアドバイスも活かし、今回の家電支援で新たに追加した家電です。

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今回用意した両面魚焼きグリル、さんま4尾が丸ごと焼くことができる大きさです

実際にグリルを注文したご家族は「大船渡といえばやっぱりさんま!仮設住宅でも大船渡のさんまがあれば元気が出そうです」と、明るい笑顔を見せてくれました。

“配る”だけでない“寄り添う”支援を。見えない小さな悩みも取りこぼさないように

「新しい暮らしが始まるタイミングなので、家電を受け取りに来る方々の表情がどこかおだやかになるのを感じます。仮の住まいとはいえご自宅があることは大きな安心につながるのだと思います」と、スタッフはいいます。

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家具の組み立て後、注意点などを丁寧に説明します

それでも空飛ぶ捜索医療団のスタッフは、家電を受け渡しするだけではなく、組み立てや設置などもサポート。さらに小さな悩みや困りごとなども取りこぼさないように、「何かあったら、いつでも声をかけてくださいね」とお話しながら、部屋のレイアウトを一緒に考えたり、倉庫の鍵の開け方を確認したり、生活のちょっとした不安にも寄り添うことを心がけました。

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仮設住宅の外に設置されている倉庫の使い方を一緒に確認、鍵の開け閉め方法などをお伝えしました

「言葉にできない」光景のなかで見えた希望の芽

家電受け渡し会場となった旧綾里中学校の体育館裏手にも黒く焦げた木々が今でも残り、火災がすぐ近くにまで迫っていたことを物語っています。焼け跡が残る地域を車で5分ほど移動し、被害状況を視察しました。

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今回の山林火災で特に被害の大きかった綾里地域。遠くから眺めると、一見季節外れの紅葉のようにも見えますが、間近で見るとそこには焼け焦げて変色した木々が立ち並び、被災者の方々の胸中を思うと、思わずその場にいたスタッフたちの言葉が詰まります。

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発災当時、緊急支援チームの看護師として現場に入っていた宮内看護師は、焼け跡を実際に見て「避難解除後に帰ってきて、家がこの状況だったときの被災者の受けるダメージは計り知れません。あらためて、より丁寧な支援が必要だと感じました」と語ります。

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一方、黒く焼けた土地にも、ところどころで新芽が息吹いています。大きな傷跡を負いながらも、自然は再生へと動き出していました。その生命力に励まされるように、人々の暮らしもまた、ゆっくりと前へ進み始めています。

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大船渡の大地に芽吹いたこの小さな緑が、復興へ向かう新たな物語のはじまりを告げているように感じました。

被災者のために「できることはすべてやる」

「空飛ぶ捜索医療団としては、医療を軸としながらも、現場で本当に求められる支援があれば分野を問わず『できることはすべてやる』という姿勢で、これからも支援活動を続けていきたいと思っています」と、二宮は語ります。

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今後は、仮設住宅での生活が続く被災者の孤立を防ぐための個別訪問などを検討中です。現地に寄り添ったさまざまな支援を続けていくために、引き続き皆さまの温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。

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