JOURNAL #2762023.11.25更新日:2023.12.20

巨大地震に備える災害医療チームに、ふるさと納税で支援を。

広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

ARROWS ふるさと納税に関するサムネイル画像です。

30年以内の発生確率が70~80%と言われる南海トラフ地震。同じく70%と言われる首都直下地震。地震大国・日本では、数十年から数百年に一度というサイクルで巨大地震が発生しており、次の大震災がいつ訪れてもおかしくない状況です。
「その時」のことを、皆さんは想像できていますか?

いつか訪れる「その時」のために備えているのが、私たち空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”。行政機関ではなく、民間のNGOのチームです。
なぜ「その時」に備えているのか、なぜ民間なのか、なぜこのチームが必要なのか。今回は、空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”の活動内容や意義などについてご紹介したいと思います。

「その時」はいつ来てもおかしくない

関東大震災から100年―。この間、私たちは自然の猛威による「想定外」に、繰り返し翻弄されてきました。阪神大震災や東日本大震災では、多くの医療機関が機能不全に陥り、大勢の人が適切な治療を受けられずに亡くなりました。近く発生する可能性が極めて高い、首都直下地震で約6200人、南海トラフ巨大地震では約8万人もの「未治療死」が出るとの試算もあります。

活断層が2000本以上あると推定される地震大国・日本では、いつどこで巨大地震が起きてもおかしくありません。「その時」のことを、皆さんはイメージできているでしょうか?津波、建物の倒壊、大規模火災、多数の死傷者・・・。情報が錯綜する中で、土砂崩れなどで道路がふさがれ、消防や救急のレスキュー隊が、一番必要な場所に一番早く着くことは難しいでしょう。

過去の主な支援実績をまとめた画像です。

なぜ民間の災害医療チームが必要なのか

そのような緊急時に、「一秒でも早く、一人でも多く」の命を救うことを使命として、「機動力」「専門性」「ロジスティクス能力」を強みに活動しているのが、私たち空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”です。
航空機やヘリコプター、船などの輸送手段を活かし、医師や看護師、レスキュー隊員、災害救助犬などの救助チームが被災地に赴きます。東日本大震災以降、ほぼ全ての国内大災害に出動し、多くの被災者を支援してきました。

災害救助活動は行政や自衛隊が行うものなのでは?と疑問に感じられるかもしれません。しかし、行政が取り組むには難しい範囲もあります。判断する際にどうしても「要請」や「承認」が必要になり、救助までに時間を要することがあります。さらに、国や自治体の予算は、すでに起きた災害や社会課題に使うことが優先され、まだ起きていない災害の準備に対して大きく予算を割くことが難しいという現状もあります。

一方、民間のNGOが災害救助活動に取り組む価値は、大きく3つあると考えています。

1. 迅速性
2. 柔軟性
3. 協調性

民間チームは、迅速な意思決定や、柔軟な対応ができ、多組織で協調して連携することが可能です。時間を急ぐ事案に対処したり、支援が届きにくい地域・施設の救助に対応したり、細かい規程や指針にとらわれず、柔軟に行動できます。
具体的な例を挙げれば、国の指針でドクターヘリは患者さんしか運べませんが、空飛ぶ捜索医療団のヘリなら水などの物資も運べます。私たちが間に入ることで、自衛隊、DMAT、行政職員、地域の医師会、赤十字など、官民連携含めて協働が可能になります。

本当に甚大な被害があった場合には、通信手段も遮断された中で救助活動を行う必要があります。迅速かつ柔軟に協調しながら活動できることは、結果的に一人でも多くの命を助けることにつながるのだと考えています。
なお、迅速かつ柔軟な意思決定ができる理由は、独立した資金源があるから。皆さまからのご支援あってこそ、空飛ぶ捜索医療団ならではの活動が実践できているのです。

ARROWS×自衛隊×DMAT×赤十字 での協働作業の様子です。
空飛ぶ捜索医療団×自衛隊×DMAT×赤十字 での協働作業

まび記念病院で実感した意義

実際に、救助や支援が届きづらい状況下で空飛ぶ捜索医療団が出動した事例を挙げると、2018年7月に発生した西日本豪雨の際。浸水により孤立した岡山県倉敷市真備町の「まび記念病院」では、水も電気もないまま丸1日が経過し、その晩だけで8人の命が危機に瀕していました。
重量のある通常のヘリコプターでは屋上に着陸できない状況だったため、水陸両用車とゴムボートで先遣隊が病院に向かい、屋上の構造を確認。すると、空飛ぶ捜索医療団のヘリなら降りられることが分かりました。実はこうしたケースに備えて、普段から敢えてヘリの総重量を軽くしておいたのです。空飛ぶ捜索医療団の2機のヘリにより、日没までに8人の患者さんを近隣の医療施設まで搬送することができました。

水陸両用車が病院にたどり着いた時の様子
水陸両用車が病院にたどり着いた時の様子

一連の救助活動のあと、病院長が涙を流し、「救助がなければ多くの命が失われていたかもしれない。本当にありがとう」と言ってくださいました。迅速で効果的な救急対応を実現でき、空飛ぶ捜索医療団の活動の意義を再認識する機会となりました。災害医療のまさに“隙間”を埋められたような気がして、私たちは大きな自信を得ました。これを契機に、私たちは活動の幅を少しずつ広げ、メンバーも年々増えています。

400名規模の大きなプロフェッショナル集団に

空飛ぶ捜索医療団は、約20名の常勤職員(医師・看護師・ロジスティクス・広報)と、約400名のロスター(登録隊員。看護師を中心に、薬剤師、介護福祉士、パイロットなど多彩な職種の方が登録)で構成されています。国内外の被災地で救助活動を行い、2022年にはウクライナからの避難民支援でモルドバにも出動しました。

参加者の集合写真です。

一方、平常時には、定期的に災害時を想定して訓練を行ったり、国内のへき地医療に貢献したり、海外で医療支援が必要な国(パラオやブルキナファソ等)を訪問したりしています。「災害医療×地域医療×国際協力」を掲げて、必要な人に必要な医療が届くよう活動しています。

また、空飛ぶ捜索医療団では「医療へのアクセス」を確保することが人命救助につながると考えているため、ロジスティクス(ヘリコプター、飛行機、水陸両用車、四輪駆動車など)を年々強化しており、2023年には念願の「災害医療支援船」が始動しました。ヘリコプターが着陸できる巨大な船で、傷病者や被災者の受け入れ、物資・燃料の補給、支援スタッフの宿泊、そして外科手術も可能。災害支援時の「洋上プラットフォーム」として活用していく予定で、日々訓練を重ねて能力を高めています。

power of changeの画像です。
ピースウィンズ・ジャパンが保有する災害医療支援船「Power of Change」

広島・神石高原に拠点を置く理由とは

そんな私たち空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”は、広島県・神石高原町に拠点をおいています。南海トラフ地震や首都直下地震が来たとしても、津波や火災などで被災しない場所を拠点に選びました。南海トラフ地震が起きると、津波や土砂崩れで道が封鎖され、孤立することが予想されている高知県にも、すぐに向かえる位置。高齢化・過疎化の進む町でへき地医療に貢献しながら、国内外の大災害に備えています。

診療所での診療の様子です。

「ふるさと納税」で、災害で亡くなる方を一人でも減らす

皆さんは「ふるさと納税」をされていますか?
ふるさと納税は、日本の税制制度の一部。自治体(市町村)への寄付を通じて、税金の控除を受けながら、その自治体の地域振興や地域社会の支援に貢献する制度です。
皆さまからのご寄付は、空飛ぶ捜索医療団のロジスティクスの整備費用、医療器具や薬品の購入費用、物資の備蓄、フィールドホスピタル(野外病院)の設置訓練、へき地医療の維持費などに使われます。

そして、ご協力いただいた皆さまに喜んでいただける工夫もしています。空飛ぶ捜索医療団が拠点を置く広島県神石高原町で育ったお米や地酒、牛肉、ヨーグルト、はちみつなど、豊富なラインナップから返礼品をお選びいただけます。

なかでもイチオシの返礼品は、「幻の神石牛と野菜BOX」のセット。神石牛は、高品質な黒毛和牛に育てるため、古来から現在へと、技術と伝統が受け継がれ、徹底した肥育管理が行われています。生産数が限られている大変貴重な一品です。神石高原の野菜は、標高500~700mという寒暖差の激しい高原で大切に育てられているため、旨みや甘みがギュッとつまっています。ぜひ神石高原の特産品を味わっていただきながら、空飛ぶ捜索医療団の災害医療を応援していただけると有難いです。

>ふるさと納税返納品のイメージです。

募金活動というものは、一般的に災害が起きた後に行われることが多いものです。しかし、それでは大きな災害に備えることができません。平常時にこそ、入念な準備ができるのです。「その時」に備えて、大きな整備費用のかかるロジスティクスと、災害救助への大きな熱量ある専門職を有する空飛ぶ捜索医療団をサポートいただけますと幸いです。あなたの支援が、国内外の災害救助の手助けとなり、「未治療死」を減らします。

いつか訪れる「その時」のために、「今」できる支援を。

WRITER

広報:
空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"ジャーナル編集部です。災害に関する最新情報と、災害支援・防災に関わるお役立ち情報をお伝えしています。

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