JOURNAL #4652025.08.22更新日:2025.08.22

【能登半島地震】今だからこそ続けたい「寄り添う支援」 珠洲でのボランティアを通じて

広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

能登半島地震・豪雨被害への支援活動は正規スタッフだけでなく、ボランティアで参加される方の献身的な働きによって支えられています。被害の爪痕が色濃く残る石川県珠洲市の支援活動でも、ボランティアとして多くの方々が活動に協力してくれています。
そのなか東洋大学4年生の山﨑七海さんも、現地をたびたび訪れ、地元の方々への細やかなサポートに貢献してくれています。春先に1ヵ月以上にわたって珠洲事務所の一員として活動した後、7月後半にも再び珠洲市で支援に加わりました。

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これまでも、所属するゼミの活動の一環で災害ボランティアなどを経験してきた山﨑さん。珠洲で地域に密着した支援活動に参加したことで、改めて感じたこと、考えたことを教えてもらいました。

何度も経験する「はじめて」

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2025年4月 イベントを企画した東洋大ボランティアの皆さん

私は今年の4月から5月まで珠洲市に5週間滞在していたため、その期間で新しいことはやり尽くしたと思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。
この7月の2週間でも、ブルーベリーの収穫・選別やモルックなど、東京で普通に大学生として過ごしていたら経験しないようなことを、たくさん体験させていただきました。

その中でも特に印象的だったのは、飯田町燈籠山祭りです。3日間にわたって開催され、小さな飯田町で8つもの山車が夜通し練り歩きました。

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「ただ沿道で鑑賞するのもよし、山車を引くのもよし、歌って踊るのもよし、お酒を交わして語り合うのもよし」という自由かつアットホームな空間を肌で感じられたことは、卒業論文でコミュニティに焦点を当てている私にとって、理想的なものでした。

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しかし、この祭りは飯田町の皆さんが長い準備期間を経て完成させた努力の結晶であり、実際に参加したことで「ここに祭りに代わるものなんてないんだ」と強く感じさせられました。
今後の滞在期間でも各地の祭りを初体験し、それぞれの違いを楽しみたいと思います。

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支援の在るべき姿と現実の狭間で

実際にコミュニティ支援事業に従事しながら常々感じていたのは、「今後の支援の在り方の難しさ」です。無償で食糧やサービスを渡し続けることは、住民の皆さんにとってありがたいことではありますが、そのままでは住民の皆さんは支援なしでは生きることが難しくなり、地域の商売も成り立たなくなります。また、だからといって支援を突然切ってしまうのも、住民の皆さんの心身にダメージを与える危険な行為になります。

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知らない人も多い仮設住宅での暮らしに、コミュニティ形成のサポートや健康維持を目的としたイベントを発災後から継続して実施いしている

そのため、モノを渡すときはその使い方まで説明し、どのタイミングでどのような段階を踏んで支援を終了するのかを、渡す前に決めておかなければなりません。そして、この時期になると、地域の経済と行政、そして住民の皆さんにとって持続的かつ能動的な支援の在り方が求められます。

しかし、私はこういったことを頭ではわかっていても、実際に辛い思いをされている住民の皆さんにお会いして複雑な事情を聴くと、理性的になることができなくなります。

被災していない人間からしたらそこまで大ごとではない悩みでも、それが最後の引き金となってしまう可能性があるくらい、被災によるダメージはとても根深いと私は考えているからです。

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集まった住民の方々との談笑。子や孫世代の山崎をいつも温かく迎えてくれる皆さん。

珠洲市でコミュニティ支援事業に従事していない人からしたら、「いつまでそんな手厚いケアをしているんだ」や「離れられなくなったらどうするんだ」と思われるかもしれません。けれども、発災から時間が経過した今だからこそ、一人ひとりに寄り添う支援者がいてもいいと私は思います。

いろんな考えを持った支援者が珠洲市で活動し、互いの考えをすり合わせながら、「正解」ではなく「最善」の方法を見つけていくお手伝いを、今後も私はしていきたいです。

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話し、伝えることで次のステップへ

住民の皆さんと何気ない会話をしていると、自然と発災当時の話題にすり替わっていることがよくあります。1対1でじっくり会話をしていたのに、どこで話題が変わったのか全くわからないくらいに、自然と変わっていきます。
そういったことは多々あるのですが、話している皆さんの表情や発言は、本当に人それぞれです。

「足が悪いから、いろんな人に迷惑をかけた。私は何もできなかった。」
と涙ぐみながら語る方もいれば、トイレやお風呂で苦労したことを笑いながら語り合う方々もいました。

このようにそれぞれの話し方があるのですが、全員が辛い過去を抱えており、話すことでそれを緩和させようとしていることは確かです。

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発災から数日後の珠洲市内の様子

聞いている私自身は、発災当時に助けることができなかったもどかしさや申し訳なさが込み上げてきます。しかし、住民の皆さんの気持ちが少しでも晴れて、次のステップに進みやすくなるのであれば、私は何時間でも皆さんの語りに、耳を傾け続けたいと思います。

人に話すだけでなく、自ら支援者側となって活動したり、作品に昇華させたりなど、他にも辛い過去を乗り越えるための対処法はたくさんあります。それぞれの方法を尊重し、明るく頑張っているからといって、その方がもう乗り越え切ったとは思わないように、今後も一人一人に寄り添い続けていきたいです。

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