JOURNAL #4712025.09.11更新日:2025.09.11
静岡県内で発生した台風15号にともなう竜巻災害の発生から1週間。突風により車が横転した事故で1名が死亡、83名が負傷し、住家被害は全壊2棟、半壊162棟、一部破損は1,352棟に拡大。気象庁の調査によると、被害をもたらした突風はほんの数秒だったことが推測され、竜巻は一瞬にして大きな被害をもたらしたことがわかります。
空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は、9日に現地入り。被害状況の把握と被災者からの聞き取り調査を進め、関係各所と連携して必要な支援を届けるための活動を行っています。
参照:静岡県|台風第15号による被害状況について【第8報】(9月11日14時00分現在)
2024年1月1日の能登半島地震の発災から現在も支援を続けている石川県珠洲市より静岡県吉田町に移動し、被害状況の調査を進めている橋本は「支援の遅れ」が生じていると指摘します。
「災害はその被害状況によって“大きい・小さい”と表現されることがありますが、被災された方々にとっては、大きいも小さいもありません。けれど、官も民も現実はこの規模という判断からなのか、約1週間が経った今でも必要なところに必要な支援の手が行き届いていません」
今回の竜巻は、おもに牧之原市と吉田町の2地区に大きな被害をもたらしましたが、被害規模が牧之原市のほうが大きいこともあり、牧之原市内の支援体制は構築されつつあります。しかし、人口も少ない吉田町の被害状況は、未だ“見えない”ことが多く、戸別訪問による聞き取り調査が必要な状況です。
戸別訪問で被災者の聞き取り調査を行っている空飛ぶ捜索医療団の看護師は、被災者の多くが「我慢してがんばってしまっている」ことに課題を感じています。
「お話をお伺いすると、『大丈夫、大丈夫』と答える方が多いのですが、なかには壁も天井もない状況で全然大丈夫ではない方がいます。しかも、自分たちでなんとかしようとしている。がんばることはけっして悪いことではありませんが、がんばりすぎてしまっていて、それが約1週間経って疲労が蓄積して表面に出てきているという印象です」(宮内看護師)
「『初めて見に来てくれた』と私たちをみて涙を流しながら『全然大丈夫じゃないです』と、正直に胸の内を語ってくださる方がいました。その涙をみて、物的損害だけではない、今回の本当の“被害”を確認できたように思います」(横井看護師)
道1本隔てると、まるで何事もなかったような被災していない日常がある、そうした被災者にとってつらい現実が、日が経つにつれて表面化してきています。「なんとかできてしまう面もあるから、みんな声をあげず、我慢してしまっている。がんばらなければいけないこともありますが、それも限界。一人ひとり声を聞いていかないと、本当の被害状況は見えてこない」と橋本はいいます。
戸別訪問で浮き彫りになってきたことのひとつに、地域全体で「公的支援」に関する認識不足があります。もともと吉田町はこれまで災害の少ない地域で、今回の災害に対し「どうすればいいかわからない」という声が多く聞かれました。それは住民だけでなく、自治体にとっても経験したことのない災害で、結果的に支援が十分に行き届いていない状況が生じてしまっています。
空飛ぶ捜索医療団は、これまでの災害支援で培ってきた知識と経験を生かし、迅速に支援の手が被災者に届けられるように、自治体をはじめ地元の支援者のサポートも行っていくとともに、戸別訪問などを通して声になっていないニーズをしっかりと拾っていきながら、必要な支援につなげていく支援を行っています。
災害支援で求められるのは、物資や医療支援だけではありません。今回の竜巻災害は、災害救助法の適用が決定され、被災者はさまざまな公的支援を受けることができます。こうした必要な情報を漏れのないようにしっかりと伝えていきながら、支援の手が一人でも多くの被災者に迅速に届けられるように、支援者側の体制構築をサポートすることも、私たちにできる大切な支援活動です。
空飛ぶ捜索医療団は、引き続き現地でニーズを調査し、これまでの災害支援、避難所支援の知見を活かして、被災者の方々に支援を届けます。皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。
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