JOURNAL #2782023.12.03更新日:2023.12.04
広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
こんにちは。みなさんは防災対策を行っていますか?
私は2018年7月に広島県で起きた記録的豪雨にて、実家が被災しました。数日間も停電や断水が起き、災害時給水ステーションに出向かなければいけず、80歳の祖母が苦労していました。このような経験をした後に、震災時に自宅で避難生活を送る「在宅避難」を知り興味を持ちました。
在宅避難の準備をしておけば、震災時に住み慣れた自宅で家族と過ごすことができます。家族にストレスをかけず避難生活を送らせてあげられるよう、在宅避難の準備をしておきましょう。
今回は私が実践している気軽に取り組める防災対策をご紹介します。
在宅避難とは自然災害(地震、台風、津波など)が発生したときに、避難所に向かわずに自宅で避難生活を送ることをいいます。
自然災害が発生したときに避難所に向かう行動が正しいとは限りません。多くの人が避難所に集まり密集すれば、1人当たりのスペースが狭くてストレスを感じてしまうでしょう。また、避難所は三密となりやすく感染リスクが上がります。
そのため、自宅が倒壊、火災していなければ在宅避難をするのも1つの選択肢になってきました。
在宅避難のメリットとして最も大きいのは、住み慣れた自宅で避難生活を送れることです。非常時に普段と違う状況で過ごすと、ただでさえ不安な上、身体的にも精神的にも疲労してしまいますが、自宅であればパーソナルスペースを確保でき、ストレスがかかりにくいと言えます。
そのほか、以下もメリットとして挙げられます。
特に、感染リスクが低いことは重要なポイントと言えます。避難所での生活では、どうしても多くの人が狭い空間で過ごす必要があるため、ウイルスや細菌の感染リスクが高まります。ご高齢の方や持病をお持ちの方は、在宅避難をした方が良い可能性があることに留意してください。
在宅避難のデメリットは、防災に関する情報が得られにくいことです。避難所には多くの人が集まり、防災に関する情報や支援物資が調達されます。在宅避難をしていても生活物資はもらえますが、リアルタイムで情報が入手しにくくなります。
また、自宅で1人で避難生活を送ることに不安を感じる方もいるでしょう。周囲の人と一緒に過ごして安心感を得たいという方には、在宅避難は不向きです。
そのほか、避難所とされる建物は、学校や市区町村の運営するセンターなど大型で地盤のしっかりした建物が多いため、住居の安全性が確保されていることも在宅避難との違いになります。
在宅避難と避難所生活での違いをまとめると、以下のようになります。
在宅避難 | 避難所での生活 | |
---|---|---|
メリット | ・プライバシーが守れる ・感染リスクを防止できる ・マイペースに暮らせる ・ペットと一緒に暮らせる盗難を防止できる | ・物資調達がしやすい ・建物の安全性が確保されている ・周囲のサポートが受けられる |
デメリット | ・情報収集がしにくい ・物資調達がしにくい ・建物の安全性を確保しなければいけない ・周囲のサポートが受けにくい | ・プライバシーが守れない ・感染リスクが高い ・ルールに従う必要がある ・ペットと一緒に暮らせない ・家を留守にしなければいけない |
どちらも得手不得手があり、被害の内容や状況によっても最適な避難方法が異なります。今回の記事では在宅避難に限定してご紹介していますが、どちらでも対応できるよう準備をしておくことが重要です。
在宅避難するためには防災対策の準備が必要です。災害時に大切な家族を守るためにも防災対策の備えておきましょう。ここでは、自治体が推奨する在宅避難への備えをご紹介します。
自然災害時に落ち着いて行動するためには、家族の命を守るための行動を覚えておきましょう。主に以下のような内容についてあらかじめ知っておくと、いざというときに安心して行動できます。
地震に備えた家づくりをしておかなければ、窓ガラスが飛散したり、家具が転倒したりすることで怪我をしてしまう可能性があります。家具の配置から小物の工夫まで、細かい部分まで気を遣い、怪我等を防ぐために備えておきましょう。
大震災が起きたとき、被害額を公助だけでは賄えません。防災の公助の目減り分を自助と共助で賄いましょう。日頃から地域の人と良好な関係を築いておけば、支援物資の情報がもらえたり、自宅にある物資を交換し合ったりできるようになります。
町内会の集まりなどに積極的に参加することで、周囲の人々との交流が生まれ、非常時に助け合える関係を築けるようになります。
市区町村の多くが、防災アプリや防災ポータルサイトを運営しています。アプリやサイトでは、災害情報を調べられたり、家族の安否を確認できたりします。自然災害時にどのような生活を送るべきか、防災知識を収集できるため、事前にアプリをダウンロードしておきましょう。
自然災害に遭遇すると、断水や停電が発生する可能性があります。また、食料品や日用品が購入できなくなることもあります。そのため被災時の生活を見据えて、生活必需品の備蓄をしておきましょう。「食料」「トイレパック」「電気、水道、ガスを補えるもの」を確保しておくと安心して暮らせます。
自然災害発生時に避難所で過ごすか、自宅で過ごすかを見極めるためのフローを覚えておきましょう。
上記の3点が問題なければ、基本的には在宅避難が可能であると考えられます。
ただし、上記はあくまでも目安です。避難時の状況は災害の種類や規模によっても大きく異なるため、状況に合わせて冷静に判断・対処するよう心がけてください。
自然災害時は、停電や断水など不自由な生活が続きます。基本的に市区町村やボランティア団体などから物資が届くのは4日目以降と考え、その期間に避難生活ができるよう、最低3日分の食料品や日用品を備蓄しておきましょう。
備品 | 詳細、分量 |
---|---|
水 | 1人あたり1日3ℓ × 3日分(1人あたり合計9ℓ) |
食料 | 栄養バランスを考え、自分の好みの防災食をストックする |
トイレパック | 1人5パック×3日分 |
衛生用品 | マスク、アルコール、タオル、生理用品 |
照明 | 懐中電灯、電池 |
調理器具 | カセット用コンロ、調理器具 |
防災用品を安く購入したい場合は、市区町村にお問い合わせてみることをおすすめします。また、百貨店によっては防災コーナーを用意していることもありますので、便利グッズを購入したい方はぜひ行ってみてください。
私は「自宅のスペースの邪魔にならないものを備える」、「手軽に始められることから始める」の2つの考え方を中心に防災対策をしました。私の実体験ベースで、手軽に始められる在宅避難の備え方を紹介していきます。
電気の確保はモバイルバッテリーで行おうと思っています。私が重要視しているポイントは5つです。
上記の条件を満たしたモバイルバッテリーを購入しました。ポータブル電源は相場が約50,000円と大きな出費となりますが、モバイルバッテリーであれば、懐中電灯やスマホ充電ができ、3,000円程度で購入できます。
清涼飲料水の定期便を購入しています。きっかけは友人からの紹介でしたが、「スーパーに購入しに行かなくていい」「防災対策になる」など、便利なサービスで気に入りました。価格が安いお水やミネラルが豊富なお水など、お好みのものが購入できます。非常時には水の確保が大変重要になる上、日常的にも利用できるため、おすすめです。
現在は、パッケージがオシャレで、味にもこだわって作られた防災食が数多く販売されています。実家が被災した経験から防災食を購入するようになりましたが、在宅ワークでサクッと食事したいときなどにも利用しています。防災食のローリングストック法は面倒くさいと感じていましたが、今では在宅ワーク時の食事に利用しており、防災食が暮らしに定着しました。(基本的には、無洗米を炊いて避難生活したいと考えています。)
💡ローリングストックとは
災害時に備えて一定量の食品を備蓄として抱えておき、その中で消費と購入を繰り返していく方法です。備蓄を消費し、消費した分だけ購入する、という循環をしていくことで、非常時にある程度の食料が残った状態を作ることができます。
参考: フェーズフリーとは?非常時もいつも通り生活するために
災害時は電気が使用できないと想定して、ガスコンロを購入しています。防災食として冷えても美味しいご飯を購入される場合は必須ではありませんが、私はガスコンロとステンレス鍋を用いて無洗米を炊こうと考えているため、購入しました。百貨店の防災コーナーなどでは簡易的なガスコンロも売っているため、普段は使わないという方でも、安く手に入れることができます。
個人的に衛生用品は必要だと思っているため、携帯トイレは最低3日分のみストックしています。また、非常時には衛生面も重要になると考えているため、エチケット用品として、指サック型の歯磨きシート、水を使わない泡なしシャンプーウェット手袋などを購入しました。いずれも防災コーナーで販売されていました。女性の方は生理用品を用意しておくことも忘れないようにしましょう。
防災対策として私が実施したことは、他にも以下のようなものがあります。
盲点となりやすいですが、地震後の火災はコンセントから発火することによるものが多いため、感電ブレーカーは付けておくことをおすすめします。
また、自宅の内側で防災対策をすることももちろん必要ですが、安全な土地を選んで住むということが一番の防災対策と言えます。日本はどこも災害が多く、必ずしも安全と言い切れる場所はあまりないかもしれませんが、地盤の安定している場所、プレートの位置関係から地震の発生頻度が低い場所などを考えて住居を決められると安心です。
今回は在宅避難の備え方をご紹介しました。個人的には、気軽に始められることから取り組むことをおすすめしたいです。
この記事では、自治体が推奨している在宅避難の備え方まで紹介しました。ぜひ、これを機会に防災対策してみてください。
WRITER
広報:
空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"ジャーナル編集部です。災害に関する最新情報と、災害支援・防災に関わるお役立ち情報をお伝えしています。
SUPPORT
ご支援のお願い
支援が必要な人々のために
できること
私たちの活動は、全国のみなさまのご支援・ご寄付によって支えられています。
一秒でも早く、一人でも多くの被災者を助けるために、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”へのご寄付をお願いいたします。