JOURNAL #2972024.01.09更新日:2024.01.25
【令和6年能登半島地震】一人でも多くの被災者と医療の現場を守るために必要な支援体制を考える
ここ数日、能登半島には冷たい雨と雪が降り続き、寒さが一段と厳しくなってきました。地盤の隆起による陥没や地割れ、土砂災害などにより一時期は完全に麻痺していた道路状況は一部修復作業が進められていますが、まだまだ通行止めや片側通行に規制されている箇所も多く、孤立している集落もあります。
空飛ぶ捜索医療団の緊急支援チームは、ヘリコプター、船舶などもフルに稼働させ、医療と物資の両面から必要な人々に必要な支援を続けています。そのなかで医療チームは、珠洲市総合病院と連携し、重症患者や継続的な治療が必要な患者をヘリコプターで別の病院に搬送したり、市内各所の避難所や孤立集落などへの医療支援を重点的に進めてきました。
被災地の医療を守るために避難所の医療体制をサポート
震災直後は、珠洲市総合病院に患者が殺到し混乱。こうした大規模災害では、周囲の避難所で体調を崩した方が病院に行くという流れを少しでも減らし、病院に集中する患者を分散することも必要になってきます。そのためには、病院以外でも診療できる場所をつくり、同時に避難所でできるだけ体調を崩さないようにするための環境を整えることを考えなければなりません。
特に珠洲市は高齢者の多い地域で、空飛ぶ捜索医療団の医療チームは、各避難所で臨時診療所を立ち上げたり、訪問診療にも対応してきました。大規模災害の医療支援において一人でも多くの被災者を救い、また医療の現場を守るためには、こうした被災地全体を見渡した医療支援体制を構築し、環境を整備していくことも重要になってきます。
この日訪れた避難所でも臨時診療所を立ち上げると、診療が始まる前から廊下には長い列ができました。寒さによる体調不良、熱や下痢などの症状を訴える方が多く、特にこの時期はインフルエンザなどのパンデミックが懸念されます。診療だけでなく、できるだけ感染を防ぐために継続的に避難所の衛生環境も管理し、整備していかなければなりません。
また、診察所を訪れた方のなかには、地震発生時にケガをしてしまい、避難しても医師に診てもらうことはかなわず、そのまま数日を過ごしてきた方もいました。
物資と医療が連携した支援を届ける
2023年5月能登半島地震における支援活動を活かして
空飛ぶ捜索医療団は、昨年5月に能登半島で起きた地震の際にも緊急支援チームを派遣。避難所支援や物資支援、部会立ち上げ支援なども行いました。その時の経験を活かし、今回は珠洲生活サポート部会の運営支援を空飛ぶ捜索医療団の本部指揮所スタッフが担い、医療保健部門をサポート。他団体のメディカルチームが到着したら各避難所の状況等の情報共有を行っています。
2023年5月に発生した能登半島地震の活動記録は、以下よりご覧になれます。
▶2023年5月~石川県能登地方地震緊急支援