JOURNAL #3352024.04.25更新日:2024.04.26

海外の支援団体との連携

看護師:北川 光希

国や地域を超えて課題に向き合い絆を深める 

大規模災害時には多くの国際支援チームが現地に押し寄せますが、支援者間の連携には文化の違い・診療方針の違い、双方の受け入れ手続きなど多くの障壁があります。また、災害医療支援において国や地方行政、NGO、企業などのセクターを越えた実践的な学び合いや連携の場は意外に少なく、知見が各国に留まっているのが現状です。

空飛ぶ捜索医療団を運営しているピースウィンズは、これまでにもそういった課題と向き合うために、主催する多機関連携災害時医療救助合同訓練(合同訓練)に海外の医療支援チームを招致するなど、災害時の連携を深めようと取り組んできました。
昨年2023年9月には、これからの協力体制の強化と医療人道救助を強化するための人材育成・国際医療の発展を目指して、台湾衛生福利部桃園醫院と「災害等緊急時における支援協力に関する協定」を締結しています。同年11月からは、トヨタ財団の助成を受けて ”災害多発国における多国籍合同訓練を通じた緊急医療支援の相互学び合いプロジェクト” というプロジェクトを立ち上げました。

これまでも合同訓練では連携団体である台湾の医療チーム「台湾災害医療チーム発展協会(台湾チーム)」と協働ししていましたが、更に連携を深めていこうと、災害医療支援船Power of Changeでキックオフミーティングを行った矢先、能登半島地震が起こりました。

キックオフミーティングの様子
キックオフミーティングの様子

  能登半島地震では、震源地である”奥能登”にある珠洲市では特に、陸路がほぼ寸断されている状況でした。あまりのアクセスの悪さと活動をする上での環境の過酷さから、多くの日本国内の支援チームも現地入りをためらい、あらゆる面で困難を強いられました。
そんな中、「私たちはいつでも出動する準備がある」と、台湾チームが発災当日に連絡をくれました。そして現地の状況把握を待って、1月3日には現地に向かってくれました。 海外からの支援チームの医療行為は、現地に滞在した最終日まで結局認可が下りなかったものの、医療にこだわらず、物資運搬や掃除、健康相談等出来ることは何でもしてくれました。

避難所への物資支援(2023年1月珠洲市)
避難所への物資支援(2023年1月珠洲市) 
孤立集落での調査や健康相談を実施(2023年1月珠洲市)
孤立集落での調査や健康相談を実施(2023年1月珠洲市)
船からの荷下ろし作業(2024年1月珠洲市)
船からの荷下ろし作業(2024年1月珠洲市)

詳細は、令和6年能登半島地震での台湾チームとの協働についてまとめている記事をご覧ください。

そして今回、4月3日に発災した台湾花蓮地震を受け、4月6日から4月13日の1週間、私も台湾の被災地に渡航しました。 台湾チームは発災直後から現地レスキューチームと合流して医療支援活動を行いました。  台湾花蓮地震の様子

我々ピースウィンズも、発災後すぐに情報収集を開始し、4月5日にピースウィンズ内の部署を超えたメンバーで緊急支援チームを編成し台湾へと向かいました。
発災当時、私はパラオ共和国南西諸島の検診プロジェクトで航海に出ており、インターネットが通じる島に戻ったのは4月5日。翌日の便で台湾に渡航することになりました
 

今回の地震では、行政や現地で活動している民間NPO団体、病院等による迅速な支援が繰り広げられていたため、我々にはこうした支援から取りこぼされている人々への支援や、中長期的な支援が求められています。一見すると物やお金、ヒトが十分に集まっているように見えても、実際に現地に行ってお話しを伺うと、様々な細かいニーズが見つかります。
我々はニーズ調査を行いながら、緊急物資支援や食料提供等を行いました。また、地域に根付いたいくつかの信頼できるパートナー団体と協働で、中長期的な活動に向けた計画を進めています。

現地パートナー団体との協議(2024年4月台湾花蓮)
現地パートナー団体との協議(2024年4月台湾花蓮)

今回の地震で現地の方々からお話を伺いながら多くの温かい言葉を掛けて頂きました。日本人は家族のようなものだ 、“日本から来てくれて、我々にとっての希望だ”など、多くの方がこのような温かいことばで迎えてくれ、台湾と日本の繋がりを改めて感じています。

避難所への物資支援(2024年4月台湾花蓮)
避難所への物資支援(2024年4月台湾花蓮)

能登半島地震や今回の台湾花蓮地震の経験を経て、平時の連携が万が一のときの迅速な支援活動に繋がると改めて感じています。 今年もいくつかの災害に関連する訓練を通じて台湾チームと協働を続けます。 また、台湾だけでなくフィリピンやパラオ共和国とも災害医療に関する交流を広げていく予定です。
引き続き、国や地域をまたいで助け合い、高め合っていける連携基盤の構築を目指します。  

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WRITER

看護師:
北川 光希

神戸市看護大学卒業後、カナダ留学を経て神戸市中央市民病院の救急部門で勤務。その後離島僻地医療や、新型コロナウイルス専門病棟、宿泊療養施設での勤務を経て、2021年9月からピースウィンズ・ジャパンに勤務。

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