JOURNAL #3802024.12.17更新日:2024.12.17
能登半島では、11月26日にまたも半島西方沖を震源とする最大震度5弱の地震が発生しました。元旦に発生した大地震とは別の活断層が動いた「誘発地震」とみられています。
地震発生後、空飛ぶ捜索医療団の支援スタッフは、被災者を訪問。幸いにも住居への大きな被害はみられませんでしたが、「眠れなかった」「動悸が収まらなかった」など、度重なる災害を短期間に経験している方々の精神面への影響が心配されるため、引き続き戸別訪問などで一人ひとりに寄り添っていく支援をおこなっています。
2023年5月に発生した令和5年奥能登地震から開設された珠洲市社会福祉協議会の「ささえ愛センター(被災者見守り・相談支援等事業)」では、深刻な人員不足が課題となっています。元旦の震災を受けて多くのスタッフの方も被災し、在籍していたおよそ70名のうち約半数が離職を余儀なくされたからです。
そこで空飛ぶ捜索医療団の看護師は、独自の支援活動と並行して、センターの支援が行き届かない可能性のある範囲を補うために連携を続けています。
一人も取り残さないように戸別訪問を続け、関連する支援団体や社会福祉協議会、ささえ愛センターがともに管理できるデータベースを構築。対象となる被災者の健康チェックの結果や困りごとを共有し、地域の健康を守っています。
また、健康を守るための支援活動として、健康相談会やコミュニティ支援を目的としたイベントなどをセンターとともに開催することで、よりきめ細かな支援を目指しています。
これまで珠洲市内のほとんどの地区で合計80回以上のイベントを開催。延べ1,000人近い被災者の方々に参加していただき、支援をおこなってきました。
参加者の中には、「仮設住宅で人と話す機会がなく、寂しさを感じていました。お話ができて嬉しいです」と涙ながらにお話してくれる方もいます。
被災したあと、住み慣れたコミュニティを離れた避難先(避難所や仮設住宅への入居など)での暮らしは、心理的ストレスが増えてしまい、精神的健康に悪影響を与えることが高い傾向にあります。
特に高齢者の方にとっては、日常的な社会的つながりが精神的安定に重要な役割を果たしています。過去の災害では、仮設住宅へ引っ越したあと、うつ病になるリスクが転居しない場合よりも2倍に増えることや、避難生活による精神的ストレスや肉体的疲労が、うつ症状の悪化や認知機能の低下を引き起こすことが報告されています。
被災者の方へのコミュニティ支援や戸別訪問では、心身ともに不調を抱えた方からの相談が多く寄せられています。
■これまで被災者の方から寄せられた相談(一部)
お話しした被災者の方々は、体調の悪化を防ぐために必要に応じてクリニックへの付き添いや、訪問診療に繋げています。
もし戸別訪問をしなければ、人知れずに体調不良や悩みを一人で抱えていたかもしれません。空飛ぶ捜索医療団では、こうした方が取り残されないように、今後も各関連団体と連携を強め、心身の健康を守っていく活動を続けていきます。
1月の震災にさらに9月の豪雨被害を受け、空飛ぶ捜索医療団は現在も珠洲市全域で支援活動を行っています。
珠洲市の人口に関する最新の統計データをみると、総人口数12,947人中、0~14歳6.7%、15~64歳42.1%、65歳以上51.1%となり、高齢者の割合が半分以上を占めています。日本の総人口に占める高齢者人口(65歳以上)の割合は29.1%で、このことからも珠洲市の高齢化率の高さがわかります(※参照:内閣府|令和6年版高齢社会白書)。
内閣府の防災情報では、過去の災害における「災害関連死」に関連する調査から、資料提供などの協力を得られた事例を発表し、今後の防災対策のための参考や手引きを公開しています。災害関連死と認定された方の死亡時の年代を調べた下記データをみると、70歳代から2倍以上に増加し、割合の多くを占めていることがわかります。
さらに下の表は復興庁が平成24年に公表した東日本大震災と、熊本県が令和3年に公表した平成28年熊本地震の調査結果で、概ね同様の傾向がみられます。
珠洲市内の人口年代別の比率と「災害関連死」の年代を照らし合わせてみると、能登半島においても特に高齢の方々への支援を継続しておこなうことの重要性が、この過去の災害でのデータからも明確になります。
下記でみられる災害関連死の原因の区分集計は、令和元年度から令和3年度に市町村で審査されたものです。そのうち、資料提供など必要な協力を得られた事例を掲載しているため参考情報となりますが、示された傾向をみると
による死亡が約7割となることがわかります。
今回のレポートでは、災害関連死についてのデータも交えながらコミュニティ支援活動の必要性をご紹介しましたが、災害関連死を防ぐためには、一人ひとりに寄り添い、必要な支援を必要な人に届ける地道な活動を重ねていくしかありません。空飛ぶ捜索医療団では、一人でも多くの人の命を守るために、現地にて支援活動を続けてまいります。
空飛ぶ捜索医療団は、一秒でも早く、一人でも多くの人を救うための医療支援から、被災地の復旧・復興を長期的に支える支援活動までおこなっています。今年1月1日に発災した能登半島地震においても、発災直後に出動して珠洲市に入り、今も現地にて支援活動を続けています。一人でも多くの被災された方を救うためには、みなさまからのご支援が大きな力となります。
空飛ぶ捜索医療団では、ARROWSサポーター(会員)として毎月一定額を継続して寄付していただく方法や、1回の申し込みごとに金額を指定して寄付していただく方法のほかに、「ガバメント・クラウドファンディング(以下、GCF)」と呼ばれる方法を活用し、本部のある広島県神石高原町と連携してふるさと納税でもご寄付を募集しています。
GCFとは、地域がかかえる課題に対する取り組みなどのプロジェクトを応援するというもので、控除の手続きは通常のふるさと納税と変わりません。ふるさと納税をとおして税金の一部控除や返礼品を受け取るだけでなく、寄付金の使い道が明確で直接的に社会貢献につながることから、数多くのプロジェクトが資金調達のひとつの方法として活用しています。
一秒でも早く、一人でも多くの命を救うために、みなさまのご支援をお願いいたします。
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