JOURNAL #4182025.03.30更新日:2025.03.31
広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
3月28日、日本から派遣された空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の看護師、調整員はソウルで現地チームと合流すると、すぐに被害の激しい慶尚北道 盈徳郡(ヨンドク郡)に移動しました。この日被災地には、久しぶりにまとまった雨が降り、道中、運転する現地スタッフは「あぁ雨だ…本当によかった……」と言葉をもらしたといいます。
韓国・南東部の慶尚南道山清(キョンサンナムド・ サンチョン)での発災を皮切りに、複数の場所で山火事が発生。韓国政府は、120機以上のヘリコプターを投入し懸命な消火活動にあたりましたが、“特別警報”が出るほど長く続いた乾燥と強風で消火活動を上まわる勢いで火は延焼を続けていきました。山林火災による死亡者は29人にのぼり、2900棟以上の家屋が被害を受けたと報告されています。
懸命な消火活動と久しぶりに降った雨の影響もあってようやく火の勢いは収まり、政府は発災から1週間が経った3月29日に山火事は鎮圧状態に落ち着いたと発表しました。しかし、まだ鎮火にはいたっていない状況で、一部山林で再燃が確認されて緊急で消防ヘリが出動するなど予断を許さない状況が続いています。
空飛ぶ捜索医療団の緊急支援チームは被災地に到着後、避難所を訪問。同行した近藤史門カメラマンから届いた被災地の現状と支援活動のレポートをご紹介します。
ヨンドクは、今回の山火事による被害が顕著に拡大したエリアのひとつ。この日、最初に訪れた避難所は地元行政と赤十字によってオーガナイズされ、ところ狭しと設営されたおよそ80張の簡易テントに、それぞれ複数の方が避難されていました。
マットを敷いただけの雑魚寝ではなく、プライベートが確保されたテントや、血圧計などがならぶ健康観察のエリアも確保されています。またインスタントフードだけでなく、お弁当やキッチンカーによるあたたかい食事も用意されるなど、この甚大な被害のなかでも予想以上に早く生活環境は整備されているという印象です。
しかし、延焼が続いていた頃と比べるとメディアのニュースバリューは薄れ、かつ報道で名の知れた被災地や避難所でもないこのエリアは、今後急速に支援が不足する可能性があります。
公的支援は、大規模な支援を得意としていますが、統一された大きな支援ではカバー仕切れない”こぼれ落ちた”ニーズは、世界中どの災害現場でもみられます。公的支援だけでなく、小さなニーズにも柔軟に対応できる民間NGOの強みが加わることで取りこぼさない被災者支援が実現され、そのなかで見えてきた課題が中長期の復興を見据えた支援にも繋がっていきます。
今回、ヨンドク郡の被災地に入ったのは、今年1月にアメリカ・ロサンゼルスで起きた山林火災の緊急支援にも出動した戸田看護師。この日訪れたのは前日に開設されたばかりの新しい避難所で、被災者が続々と避難所に集まってきていました。
ひと部屋ずつ被災者を訪問して必要な物資を手渡しながら看護師が話をすると、避難者からは特に健康の悩みが次々と聞かれました。不安からくる不眠症、肩や腰のこり、持病が原因の体のむくみなど、日本の避難所でもよく聞かれる症状がここ韓国の避難所でも現れています。避難生活が長期化すれば、災害関連死も懸念される状況です。
戸田看護師は、避難所で必要な生活のリズムや、ストレスとの向き合い方、症状が悪化した際の病院にいくべき目安など、過去の経験と知識から丁寧にアドバイスをすると、「ありがとう」といって手を握り、涙を流す被災者の方々が多くいました。
「山火事現場は、心が切なくなります。片付けるものもなく、跡形もなく燃え焦げてしまうと思い出もすべて消えてしまう。火は消えても、焼失してしまった家の再建、インフラの復旧、そして失われた周辺の山林の再生には途方もない時間とお金がかかります。心に寄り添いながら息の長い支援が必要です」
未曾有の大規模災害に接し、被災者には身体にも心にも大きな負担がかかっています。被災者の訪問は、明日以降も継続する予定で、被災者が避難所を出て新しい生活を始めるまでの間、一人ひとりに寄り添う支援が求められています。
空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は、韓国で起きた山林火災による被災者を救うための支援をおこなっています。みなさまからのご寄付が活動の力となり、被災者の命を救い未来につながります。災害で苦しむ人びとのために、あたたかいご支援をお願いいたします。
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