JOURNAL #4372025.05.20更新日:2025.05.20

フィリピンでの国際合同訓練に参加。大規模災害時における国際的な官民との連携を強化

広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

空飛ぶ捜索医療団は、これまで台湾・フィリピン・日本の間で災害医療における国際連携を強化し災害対応能力を向上させることを目的に、各国の医療チームと共同訓練を実施してきました。

今回もその一環として、4月23日・24日の2日間に渡りフィリピンで開催されたPMA(フィリピン医師会)とアジア パシフィック アライアンス-フィリピン(A-PAD-PH)等が主催する災害医療支援訓練に、空飛ぶ捜索医療団の稲葉医師、佐々木看護師、坂本看護師、夫津木ロジスティシャンの4名が参加しました。

フィリピン保健省、外務省、医師会、民間団体、台湾の支援チームなど総勢約150名が参加した

【実働訓練】被災想定は大規模地震

フィリピンは太平洋の火山帯である「環太平洋火山帯」に位置しており、地震活動の影響を受けやすい地域です。今回の訓練想定では、フィリピンでM7.2の大規模地震が発生し、多くの建物が倒壊、その中には人で賑わっていた民間病院や学校も含まれており、数千人が負傷または瓦礫の下に閉じ込められたというシナリオでした。

初動対応として、消防、警察、医療関係者など地元の緊急サービスが即座に被災地へ出動、避難センターが広場などの空き地に設置され、模擬患者も次々と搬送されてきました。

フィリピンの保健省(DOH)のフィールドホスピタル(移動式の野外病院)。次々に模擬患者が搬送され、処置の優先順位付け(トリアージ)や医療処置への検証が行われた

チーム編成では、空飛ぶ捜索医療団と台湾の支援チーム「台湾災難医療隊発展協会(TDADMT)」がワンチームになり、同じテントで医療支援の検証を行い、異なる文化や言語を超えて災害対応力の向上を図りました。

TDADMTの看護師(右から2番目)と医師(左から3番目)と空飛ぶ捜索医療団メンバー
模擬患者を診察できる場所まで搬送する稲葉医師ら支援チーム
チームの枠を超えて一緒に診察を行い、実際の処置はもちろん役割分担など細かい部分のへの検証を行った
模擬患者と接し問診を行うTDADMTの医師。外傷の確認はもちろん、被災者自身の心理的負担も考慮した対応が必要とされる

【机上シミュレーション】情報共有、コミュニケーション

国や地域を超えた連携では、初対面の各国際支援チームのスタッフが被災地で支援を展開するため、共通した用語の共有、国際支援のフローなどの認識を合わせていく必要があります。

机上訓練では、各地の災害対応の現状や今後の課題をはじめ、実際の医療支援現場を支える資機材の管理やロジスティクスなど、実務的な面を含めた共有も行われました。

フィリピンの医療関係者と現場でのトリアージや診療所開設について、実例に即して意見交換を行った。医療の面はもちろん調整などを担うロジスティシャンにとっても貴重な機会であった
今回の訓練に参加している各関係機関の代表者によるカンファレンス

入国から現場活動までの円滑なプロセスのために

入国時の手続きや各国から派遣された緊急医療チームの調整機能を担う「EMTCC(緊急医療チーム調整本部)」への受付や、現地診療拠点の準備など、支援活動をスタートさせるまでに必要な具体的な対応についても参加者全員で情報共有、検証にあたりました。

空飛ぶ捜索医療団がこれまで支援活動や多機関訓練で培ってきた知見をもとに、国際支援を受け入れる「受援」ついて、国として今後検討すべき論点も共有しました。

「一秒でも早く、一人でも多く」助けるために

空飛ぶ捜索医療団プロジェクトリーダー稲葉医師は、今回の訓練を振り返りました。

「大地震や危機で医療資源が足りなくなったとき、国際的な支援が必要です。ただし国際支援チームが医療支援を提供しようとするときは、とても複雑で難しいこともあります。だからこそ、こうした訓練が非常に重要なのです。平時にこれらを話し合い、災害発生後ではなく、今こそ準備することが大切です。」

フィリピンでは今後、この訓練の評価結果と教訓がまとめられ、民間防衛局や国家防災リスク軽減管理評議会などの国家機関に提出される予定です。引き続き、国内のみならず国境を越えた支援の輪を広げていきます。

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