JOURNAL #4742025.09.19更新日:2025.09.19
広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
岩手県大船渡市で山林火災が発生してから約半年が経過しました。今回の活動では市内の応急仮設住宅に設置された談話室内の什器類を支援し、9月9日、市長や住民の方々ほか関係者が集まり引渡し式が執り行われました。
談話室は仮設住宅が建設された2地区それぞれに、人気ロックバンド「MAN WITH A MISSION」のボーカル・Tokyo Tanakaさんが発足した一般社団法人「CON(シーオーエヌ)」様が中心となり、建物ならびにトイレや自動販売機などを支援。空飛ぶ捜索医療団を運営するピースウィンズ・ジャパンは談話室内の椅子60脚、机30台、鍵付きキャビネット2台をお届けし、被災地への想いを同じくするたくさんの人々が力を合わせた支援となりました。
式に参加した入居者の方は「仮設の中の色々な悩みとか希望を聞きながら、あとは楽しく過ごす場所にしたい。」と話してくださいました。
山火事の発生から3ヵ月後の5月、被災地では避難生活解消と暮らしの再建に向けて、応急仮設住宅の入居が始まりました。9月2日時点で26世帯の被災者の方々が暮らしています。しかし、大船渡市では談話室の設置については国の設置基準を満たさなかったことから、設置のめどは立っていませんでした。
そこでTokyo Tanakaさん(一般社団法人CON 様)らが中心となり、想いを同じくされていた著名人の方や多くの音楽関係者などによってチャリティTシャツを製作、県内外の音楽イベントなどで販売した収益や寄付金を活用することで談話室の設置を実現されました。
式のあいさつでは、「皆さまが集い合い、憩いの場となることを願っています。」と温かいコメントを寄せました。
空飛ぶ捜索医療団とのご縁は、他県の社会福祉協議会が現地活動中のチームとして一般社団法人CON 様に紹介してくださり、今回の連携支援となりました。談話室は現在、床材工事や通水など実用に向けた各工事が急ピッチで行われているため、椅子と机を使用している模様は後日お届けいたします。
今回の支援で設置された仮設住宅の談話室。その必要性について少しご説明します。
仮設住宅に入居することによって、住み慣れた地域や人間関係から引き離されることになります。それにより入居者の方々が孤立してしまう傾向があります。談話室は入居者同士が交流し、お互いの状況や地域の情報などを共有する場となります。これによって、孤独感の軽減や、新たなコミュニティの形成が促進されます。
これは、特に高齢者の方にとって、安否確認や日常的な支え合いの機会となるため不可欠です。
ストレスによる不安、不眠などの精神的な不調は多くの被災者が経験します。談話室でほかの入居者の方や私たちのような支援者と話せる機会が増えることで、感情を吐き出し、心を落ち着かせる場所となります。また、趣味活動やレクリエーションなどを通じて、日常生活の規律を取り戻し、精神的な安定を促します。
1964年以降国内最規模となったこの山林火災では、1名の犠牲者をはじめ、90棟の住家が被害を受けました(住家以外を含めると合計226棟)。また、県による16日の発表では、農林水産業などの被害総額は約39億4,200万円に上るなど甚大な被害をもたらしました。
被害のあったエリアでは火災によって山林が深く焦げ、黒ずんだ斜面があちこちに残っています。下の写真は住宅街から見た、大部分が燃えた山と焼失は逃れた木々の様子です。建物への大きな被害を逃れた箇所でも、炎が目前まで迫っていたことが分かります。
現場近くに暮らす方にお話を聞くと「夜に山のほうを見上げると、あの日の揺れる炎が脳裏をよぎる。——でも、”あの時(震災)”を乗り越えられたから、また乗り越えられるわよ。」という声も聞かれました。
大変な記憶を抱える中でも再び立ち上がり一歩を踏み出す、強くしなやかなお姿が印象的でした。
今後も、地域と手を携えながら、被災者の方々の声を聴き、支援の輪を深め続けていきたいと思います。
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空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
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