JOURNAL #752021.05.26更新日:2024.01.14
看護師:甲斐 さおり
空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”で看護師の甲斐さおりです。
私はクラスターが発生した施設などに医師・看護師・調整員のチームとして派遣されるメンバーの一員として活動を続けています。
クラスター支援の現場に入る中、施設でよくきく問題が看護師や介護士の不足です。
なぜ、看護師が不足してしまっているのか、今回は私の見解をお話したいと思います。
現在、ワクチン接種の担い手が、歯科医、救命救急士、臨床検査技師、薬剤師、医学生、看護学生、と拡大されています。ワクチン接種を進めていくにあたり、多くの自治体で看護師を対象にした新型コロナワクチン接種の求人が数多くでています。
看護師の給料は月収20万〜30万円前後です。これはあくまで例ですが、ワクチン接種の場合、
となっています。この状況からわかるかと思いますが、コロナバブルといえる状態になっています。
病院が新たにコロナ病棟を作ると、看護師が必要になります。しかし病院は元々、看護師不足でした。結果として、普通の病棟も余計に人手不足となります。
しかし、お給料は変わらないどころか、ボーナスがカットされている所もあります。
一方、ワクチン接種や軽症者ホテルなど、コロナ特化の求人は、お給料が良い。比較的、楽で簡単なお仕事の方が、お給料が良いのです。人間関係のしがらみもなく、いつでも辞めることもできます。大変な病院を辞めたくなってしまう人も、いると思います。
私はこのような現状を変えるためには大至急、看護師全体の給料の引き上げが必要だと考えています。
そして、休日返上で頑張っている看護師さんに、長期休暇が必要だと思います。今は旅行もできないですが、とにかく休ませてあげたいです。このままだと、後1年も持たいないと思います。
施設側の状況はどうでしょうか?
クラスターが発生しレッドゾーンの看護師が足りなくなると補充すればよい、と考えられがちです。しかし、以下のような理由から志願者が少なく、施設の看護師不足に拍車をかけています。
また、PCR陽性者が出た場合、スタッフは濃厚接触者となり、2週間の自宅待機になります。それにより、人手不足が加速します。
このようにして、クラスターが発生した施設のレッドゾーンでは人手不足が発生してしまうのです。正確に言うと、一部の看護師に負担が偏ります。
今回の新型コロナウイルスをきっかけに、看護師の待遇が見直されることを切に願っています。そして、日々、戦っている現場の人たちのために、これからも現場の声を届け、支援を継続していきます。
引き続き、空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”へのご支援と応援をよろしくお願いいたします。
WRITER
看護師:
甲斐 さおり
阪神⼤震災でのボランティアを経て、慶應義塾看護短期⼤学へ入学。同校卒業後、慶應義塾大学病院で勤務。 看護師として産婦⼈科病院、内科⼩児科病院、 緩和ケア病棟、⾼齢者デイサービス、認知症グル ープホーム、在宅ケアなどに従事。 2021年より空⾶ぶ捜索医療団の登録看護師とし て⼤阪、宮城、愛媛にてコロナ対応に当たる。
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