JOURNAL #3622024.08.30更新日:2024.08.30
4月3日に発生した台湾花蓮地震。その次の日は「清明節・児童節」とよばれる祝日期間と重なり、家で家族団らんを予定している方々も多かったそうです。
発災直後、緊急支援として編成したメンバーには、空飛ぶ捜索医療団の医師・看護師とともに、運営団体であるピースウィンズの調整スタッフも出動。そのうちのひとり、西城は現在も日本と台湾を行き来し、復旧・復興の陰で見えにくくなった被災者の方々が置かれている課題と向き合いながら、支援活動を続けています。
今回は先日、台湾花蓮市を再訪した西城から届いた、台湾被災地での活動ルポをご紹介します。
8月15日、日本から台湾の被災地に移動し、およそ1カ月ぶりに現地に入りました。
8月上旬に大きな台風が台湾の東側を直撃。その影響で台北から現地に入る手段である臺鐵(台湾の鉄道)が止まるなど、花蓮市への到着は大幅に遅れ、台風の爪痕を感じながら移動しました。
今回のミッションは、原住民(先住民)であるタロコ族への支援活動を日ごろから行っている団体「サニーヤング」と、パートナーとして組んでいる支援プロジェクトの進捗状況や、取り組みの様子などをヒヤリングしたり、意見交換を行うこと。そして、前回の支援活動では行くことができなかったマンションに、商品券を配布することです。
8月17日と18日の2日間は、大型マンション2棟のみなさんへ商品券の配布(※1)を行いました。
1棟目は、被災直後に訪問した大型マンション。169世帯が住んでいたこのマンションは、黄色の判定(被害はあるが構造上問題はないため居住可能)を受けていますが、建物への被害は深刻な状況で、住民の方はほとんど住んでいない様子です。
ちょうど8月17日に住民が集まる会議があるということで、そのタイミングに合わせて配布の日時を調整し、朝9時から配布を開始。105世帯の方に商品券を届けることができました。
2棟目は、被災直後から交流を続けているマンションを訪れ、商品券の配布を行いました。
152世帯が住んでいたこちらの大型マンションは、赤色の判定(構造上危険なため立ち退きが必要)を受けています。そのため住民のみなさんは震災直後から立ち退きを余儀なくされ、いろいろなところに身を寄せて生活をしているそうです。
住民のみなさんをお世話しているのは、主に住民で組織された管理委員の方々です。訪れるほかの住民に声をかけ、最近の状況や困りごとを聞いたり、さまざまな情報を伝えたりしている様子が伺えました。
現場では、私が日本人に見えないようで、中国語で話しかけられることもしばしば。その際、隣で通訳と活動をお手伝いいただいている高さん(通訳)と林さん(ドライバー)が、この商品券の配布の経緯や私たちピースウィンズ・ジャパンについて説明をしてくれます。
すると被災者の方々は日本の支援団体が来ていることに驚き、日本語で「ありがとう!」「ありがとうね、日本のみなさん」と挨拶をしてくれたり、台湾統治時代の日本語教育を受けた高齢の方のなかには、日本語でお話しをしてくださる方もいらっしゃいます。
商品券を配布した日は、ちょうど台湾の「中元節」と呼ばれる時期。日本のお盆と似ている行事で、民家やお店の軒先には、たくさんのお供え物と灯が点された線香が供えられ、あの世で困らないようにお金(お供え用)を火の中へ放り込む様子が至る所で見られました。
また、すでに商品券が配布されたマンションを訪れると、「配布した商品券でお供え物を購入して豪華な祭壇をつくることができた」と声をかけてくれる住民もいました。
4月は祝日期間の前日に地震が発生し、被災者の方々は気持ちも休まらない日々が続いていましたが、こうして大切な行事を無事に迎えられているみなさんの様子を見ることができ、私も少しホッとしました。
次の台湾の行事は、十五夜に合わせて家族が集う9月17日になります。それまでに、震災で大きく建物が傾き、先日解体が完了した「天王星ビル」の元住民の方をはじめとした、ほかのマンションの方へも商品券の配布を行っていく予定です。
引き続き、多様な生活環境の中で暮らす被災者の方々に、必要とされる支援を届けていきたいと思います。
ピースウィンズ 西城 幸江(さいじょう さちえ)
中央大学卒業後、仙台で一般企業の勤務を経て2010年青年海外協力隊でパラグアイ共和国へ派遣。パラグアイでの活動中に故郷、南三陸町が東日本大震災で被災。派遣期間を短縮し、2011年5月からピースウィンズ・ジャパンへ入職。2024年鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得し、台湾地震支援に携わる
※1 商品券配布支援について
必要とされる様々な支援ニーズに応えるために、地域のお店で使用できる「商品券」の配布を行っています。詳細は活動報告「【台湾花蓮地震】発災から3ヵ月。現地の状況とこれからの支援」をぜひ、ご覧ください。
被災地の皆様が一日でも早く元の生活に戻れるよう、そして心身ともに健康で過ごせるよう、私たちは支援活動を続けてまいります。
今後とも、皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
▽ 台湾花蓮地震 緊急支援特設ページ
https://lp.peace-winds.org/support_taiwan_earthquake
▽台湾花蓮地震 緊急支援(Yahoo!ネット募金)
https://donation.yahoo.co.jp/detail/925074
空飛ぶ捜索医療団”ARROWS” HP:https://arrows.peace-winds.org/
Twitter:https://twitter.com/ARROWS36899898
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