JOURNAL #422020.10.05更新日:2024.01.14
救助犬ハンドラー:大西 純子
ペットと同行避難・ペット用持ち出し袋など、言葉では耳にする機会がありますが・・・。情報がたくさん出ている中、さて実際はどういうことなんだろう?と思われている方も多いと思います。また自宅に危険が迫っている時(台風や豪雨など予測できる場合)避難するタイミングや持っていくもの、人だけの避難でも慌ててしまうこともあることでしょう。ましてや愛犬を連れて行っていいものかどうかも心配ですね。
最小限の準備をするためのお話を、ピースウィンズ・ジャパンの災害救助犬のハンドラーであり空飛ぶ捜索医療団ARROWS隊員でもある筆者が経験を交えてお伝えします。
環境省は、災害発生時や災害が起こりそうで避難が必要な時、ペットと同行避難することを推奨しています。
ペットの避難に関する用語として「同行避難」と「同伴避難」と言われるものがあります。似ている言葉ですが、内閣府の「避難所運営ガイドライン」によると、以下のように定義されています。
同伴避難についても、指定避難所などで飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではなく、ペットの飼養環境は避難所等によって異なることに留意が必要です。もし可能であれば、皆さんが避難する最寄りの避難所に事前に確認をしておくと良いでしょう。
また、クレートや避難するための最低限の荷物を持って、愛犬をリードで連れて歩いて避難所に行くことができますか?車で行くことを想定していますか?
災害時は、道路が寸断されていることもあります。避難所までの移動手段や移動経路など、ルートも事前に確認しておくと良いでしょう。
以下は、最小限のものです。
小型犬であればキャリーバッグなどでも構いません。ハードでなくていいですが、犬が入り慣れていて落ち着ける場所であるものがあると良いです。
また、愛犬はクレートに入ることに慣れているでしょうか?非常時に備えて、日頃からトレーニングしておくことが必要です。
最初の3日目までが様々な支援が届かないことがあります。普段食べているものを用意しましょう。手作り食を上げている場合、緊急時にドライフードも食べられるようにしておくことが大事です。特に療法食を食べている子は、支援で手に入らないこともあるのでしっかり用意しましょう。避難中(最初)は、人も非常食やパン・おにぎりなどが配られます。
また、持病のあるペットの場合は、必ず薬も持っていくことを忘れないようにしましょう。市販薬であれば、非常時に備えて多めに用意しておくことをおすすめします。
ワクチン証明書は、画像でも良いので持ち歩くことをお勧めします。
ペットが災害に驚いて逃げ出してしまった場合のために、連絡先などの情報を記載して日頃から装着しておきましょう。
水は避難所でもすぐに配布されるので、大量に持っていく必要はありません。重さで逃げられないことにもつながるので、持てる範囲で構いません。
すぐに帰れるからと、ペットを自宅に置き去りにはしないようにしてください。災害は想定外に被害が大きくなることもあります。残してきたペットをあとから迎えに行く際に、二次災害に遭う可能性もあります。それを避けるためにも最初から一緒に避難してください。
そして、避難するタイミングはペットを連れていると荷物も多く、浸水した場合抱きかかえる必要もあります。一人で避難するよりも時間がかかると想定しておくことがポイントです。地域に高齢者避難準備勧告が出た時点で避難を始めましょう。たとえその避難が必要のないものであったとしても、避難訓練だと仮定してしっかり準備をすることで、非常時に備えられるようになります。
また、平時に、避難所まで荷物を持った状態でペットと避難をする練習を行っておくと良いでしょう。場所の確認にもなるため、その際にペットをどこに置いておくことができるかも確認しましょう。
ペットも含めて家族みんなが無事であることが大切です。身の危険を感じたら命を守る行動を早めにとりましょう。
空飛ぶ捜索医療団では現在、6頭の災害救助犬が一緒に働いています。
WRITER
救助犬ハンドラー:
大西 純子
ピースウィンズ・ジャパンレスキューチーム災害救助犬ハンドラー/一般社団法人日本防災教育訓練センター認定ペットセーバーインストラクター/空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"隊員/ピースワンコPRODOGスクール講師
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