JOURNAL #2452023.08.23更新日:2023.08.23

【ハワイ・マウイ島山火事】被災した21歳の若者が支える「地元住民の絆」

 
被災地でキラキラと光を反射する地面。それは溶けた金属と熱により砕け散ったガラスの混ざったものです。
わずかに残ったコンクリート塀も少し手で押せばボロリと崩れるほど熱によって劣化しています。「今見えている焼け残りも、どのみちすべて取り壊さないといけない。クレイジーな話だよ」地元の若者たちが話を聞かせてくれました。
 


 

 

 
多くの人々が肩を落とし意気消沈する中、前を向き復興に歩みを進めるのは、21歳 ミュージシャンを志すジェイコブ。
「下を向いていても何も変わらないんだ。僕だって家もスタジオも全部焼けた。今は友達の家に居候の身さ。でも落ち込んでても状況は変わらない。やれることをするんだ」
彼は被災後すぐに島の仲間と共に寄付を募り、水や食料などを買って被災者の暮らす家に届けています。
 

 
「僕たちのコミュニティはとても絆が深い。みんな知り合いさ。寄付も物資支援も誰か “1人” でやっていることじゃなくて “みんな” でやってるんだ」
少しはにかみジェイコブはそう言います。
現在、被災地では地元住民が自発的に行う物資配布所が多数見られ、配布所まで行きづらい人々 (高齢者や車を失った人など) にとって重要な物資受け取り場所になっています。
 
ハワイの言葉としても有名な「オハナ」は本来 “家族” を表す言葉ですが、今では血縁関係を越えて地域社会を結ぶ強固な結束も表します。互いに信頼し助け合うオハナの精神が今人々を支えています。私たちNGO団体にできることは何でしょうか? 地元民からすれば我々もいわば “余所者“。いくら支援者とはいえ、信頼関係なしにはコミュニティに入ることすらできません。現地に根付く地域文化と精神を尊重した上で関係性を構築する、そして必ずや出てくる支援のほつれを埋め、個人の力が尽きる前に必要に応じて支援を引き継ぐ後ろ盾となること、それが我々に課された使命です。
今回ジェイコブから言われたニーズはビタミン剤。「みんな保存食ばかりでビタミン不足なんだ」帯同する空飛ぶ捜索医療団の看護師が、性別や世代ごとに必要なビタミン剤を各種揃え、ジェイコブの仲間の配布所に託しました。
 

 
現在、現地チームは大きなニーズの支援計画を進めつつ、並行してこうした個人の働きを支え、“今”足りない物、個人で揃えるには少し金銭的に厳しい物を提供し、“地域のつながり” をサポートしています。
 
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