JOURNAL #4782025.09.30更新日:2025.10.01
広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
台湾東部花蓮県で大規模な洪水災害が発生してから約1週間。台湾では9月27日(土)から3連休を迎え、被災地・光復郷(グワンフー)には軍の支援部隊が増員されるとともに各地からおよそ6万人のボランティアが駆けつけ、急ピッチで街の復旧作業が進められています。
25日に現地入りした空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の調整員は、濁流が流れ込んだ光復郷の街を見て、こう表現しました。
「ひっくり返った車、窓にへばりつく葦、街路を覆う泥。まさに灰色な世界だ」
中央災害対策センターによると、28日の時点で花蓮県光復郷の洪水災害による死者は17名、行方不明者7名、負傷者は93名にのぼり、現在もせき止め湖からの流水が続き、予断を許さない状況が続いているといいます。
9月28日、堤防がふたたび決壊したとの噂が広まり、一時、市内ではボランティアも含め多くの人が高台に避難する事態が起きました。その後、県政府から「現時点では危険な状況とは見なされていません。どうか慌てないでください」との放送がながれ、混乱は収まりましたが、もともと土砂や土石流が堆積し、川がせき止められてできた湖は不安定で、いつ二次災害が起きるかわからない状況から県政府や消防による警戒状態は続いています。
さらに街にはボランティアが一気に参集した影響で多くの人であふれ、交通機関や道路は混雑するなど、復旧作業が進められる裏側は混沌とした状態だといいます。
ピースウィンズは、台湾法人である「ピースウィンズ・台湾」のスタッフと、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の調整員で支援活動にあたり、引き続き被害状況の確認やニーズの聞き取り調査を進めながらできる支援を模索しています。
継続的にニーズ調査を進めている教会と小学校の避難所には、28日の時点ではおよそ600人が避難しており、その多くは高齢者です。特に住民が自主的に開設した教会の避難所では、避難者は礼拝で使用されるベンチで寝るなど、厳しい環境だといいます。日中は家の片づけや掃除に追われ、避難所に戻ってきてもゆっくり休める場所はない状況で、「睡眠不足」の悩みは多くの避難者から聞かれました。
こうした環境下で、長引く避難生活と睡眠不足によりストレスは増大し、疲労も限界を迎え、なかにはトラウマによるPTSDの兆候も出始めている避難者もいるようです。
また、避難所のごみ周りやトイレなどの衛生環境が日に日に悪化していることも課題として挙げられました。避難所の環境は健康に深く影響し、心身ともに疲労が積み重なっていくことで体調を崩し災害関連死につながったり、感染にも留意する必要があります。
こうした事態を受け、空飛ぶ捜索医療団では、環境改善の提案を行っています。しかし、日本と台湾とは文化の違いから、ごみの出し方や避難所生活におけるルールなどへの理解や考え方は異なり、課題や改善策を提案してもすぐに受け入れてくれるわけでもありません。
それでも、災害関連死や感染予防の課題は世界中どの災害地においても共通することから、空飛ぶ捜索医療団のスタッフはこれまで多くの災害支援を行ってきた知見を生かし、各避難所の責任者や個々の避難者と粘り強く、丁寧にコミュニケーションを重ねながら環境改善を促すカタチの支援を続けています。
ボランティアが集結し多くの人でごった返す光復郷の街は、復旧に向けた懸命な作業が続いています。今後、少しずつ街もきれいになっていくはずですが、そのなかで表には見えにくい課題や、見過ごされがちな小さな被災者の声が埋もれていってしまう可能性もあります。
空飛ぶ捜索医療団は、こうした大きな支援の裏側でこぼれ落ちてしまうような被災者の声にもできるだけ寄り添い、被災地と被災者の復旧を支えていく活動を続けていきます。
皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。
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WRITER
広報:
空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
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