JOURNAL #2962024.01.08更新日:2024.01.25
能登半島には強い寒気が入り、雪が降りました。珠洲市内は、物資支援もはじまり、劣悪だった避難所の環境もだいぶ改善されてきましたが、蓄積される疲労とともに寒さによる体調不良を訴える人が増えています。
医療チームは、特に感染力の高いインフルエンザの流行を抑えるためにできる限りのケアを続けていますが、なかでも課題となっているのが孤立集落の医療支援です。
これまで空飛ぶ捜索医療団の緊急支援チームは、数日前よりヘリコプターを駆使して被害状況が激しい北部沿岸部を中心に調査を進め、孤立集落への医療支援も進めています。
1月6日に訪れたのは、珠洲の北側沿岸に位置する馬緤町(まつなぎ町)。地震による土砂崩れや地盤の隆起、さらに津波の被害により、一時は完全に道路が寸断されていた孤立集落です。道路は一部修復され、自衛隊車両がなんとか入れるようにはなりましたが、道路の損傷は激しく、一般車両の通行はリスクが高いとの判断から制限されています。
雨雲の切れ目を縫うようにヘリコプターを飛ばし、約50名の被災者が身を寄せる避難所に、医師/看護師/調整員の3名で訪問しました。
上空から見ると、馬緤町周辺の海岸沿いは、海底が露出し、まるで干上がっているように見えます。地震による大規模な地殻変動が原因の隆起と考えられ、マグニチュード7.6の脅威を思い知らされる、異様な光景です。
物資などは、水は湧水を利用し、住民同士が持ち寄った備蓄品と自衛隊が届けてくれたもので、直近はなんとかしのげるくらいの備えがありましたが、「マスクはあるだけ欲しい」といわれるほど、避難所内での感染症拡大が問題になっていました。
また、高齢者が多く、体調不良や、常備薬の不足といった健康に関する不安を持つ方が多いことから、その場で急遽、段ボールを積み上げて臨時診療所を開設し健康相談にあたることにしました。
体調不良を訴える方には、対症療法としての医薬品を提供し、避難所での過ごし方で気をつけるべきことなどを伝え、孤立して病院に行けない方々には常備薬について、どの薬は減らせて、どの薬は減らしてはならないのか、それぞれの病状に合わせて相談に乗りました。
診療所を訪れた80代の女性は、診療した稲葉医師と看護師に、笑顔で次のような言葉をかけてくれました。
「常備薬も少なくなってきて、本当は今日病院に行く予定でしたが行けなくて、どうなるのだろうと心配していました。そこに先生が来ていただけて、、、本当にほっとしています。ありがとうございます」
空飛ぶ捜索医療団は、昨年5月に能登半島で起きた地震の際にも緊急支援チームを派遣。避難所支援や物資支援、部会立ち上げ支援なども行いました。その時の経験を活かし、今回は珠洲生活サポート部会の運営支援を空飛ぶ捜索医療団の本部指揮所スタッフが担い、医療保健部門をサポート。他団体のメディカルチームが到着したら各避難所の状況等の情報共有を行っています。
2023年5月に発生した能登半島地震の活動記録は、以下よりご覧になれます。
▶2023年5月~石川県能登地方地震緊急支援
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