JOURNAL #4062025.03.04更新日:2025.03.12
広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
まもなく発災から1週間が経とうとしている岩手県大船渡市の山林火災。連日、自衛隊、消防による懸命な消火活動が続けられていますが、消火よりも延焼のスピードが早く、焼失面積は前日よりもさらに2600haまで広がっています。
「すぐに帰れると思って着の身着のまま逃げてきたからこの服しか持っていないんよ。まさかこんなに長引くとはね……」
「家は燃えちゃったのかどうかもわからん。東京は雨?雪?ここも降ってくれるといいね……」
避難対象区域は全面通行止めで規制線が貼られ、家を見に行きたくても見に行けない状況に募る不安からこぼれた、あるおばあちゃんの言葉です。
大船渡市は、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けました。そのときとは異なり、町は破壊されることなく、スーパーなども通常どおり営業しています。しかし、延焼を続ける山火事によって、市内にまでマスクをしていてもわかるほどの煙のにおいが下りてきているといいます。山のほうを見上げれば白煙が空を覆い、夜にはオレンジ色の炎がくっきりとみえる状況に、「震災のときとはまた違う不安と恐怖を感じる」という避難者の声もありました。
避難解除がされても、通常、原因の究明や検証などが行われることから、地区によってはすぐに帰れない場合もあるといいます。鎮火してはじめて被害状況が明らかになることから、避難生活が長期化する可能性もあり、保健医療福祉調整本部には日赤やJRAT(一般社団法人日本災害リハビリテーション協会)をはじめとする各支援団体が集結しはじめています。
空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は引き続き保健師と帯同し、この日も避難所を巡回、一人ひとりと向き合い、細かいニーズを拾い上げ、できる限りの支援を続けています。
たとえば、ある車いすのおじいちゃんが現状のテントの位置からトイレまでの距離が遠いため少し苦労していることを会話から聞き取れば、避難所の責任者に相談の上、避難所内での“引っ越し”をサポート。段ボールベッドの位置もご本人とご家族とも相談しながら、テント生活のなかでもできる限り快適に過ごせるように試行錯誤します。
ある避難所では、急激に体を動かさなくなることで体の機能が低下してしまい、健康問題にいたる生活不活発病を防ぐために、ラジオ体操を実施。市役所からは「午前に開催したら好評だったから午後もぜひ開催したい、手伝ってもらえないだろうか」と相談を受け、避難者とともに空飛ぶ捜索医療団のスタッフも体を動かしました。
また、避難所のなかでは「はじめまして」という方も少なくありません。そこで不安を少しでも和らげ、避難者同士の交流になればと、空飛ぶ捜索医療団の看護師が“お茶っこ”を提案。お茶っことは、東北地方の方言で“ちょっとお茶を飲む・喫茶”という意味で、提案したのはストーブを囲ってお話をするというささやかな会です。そこにちょっとした想いを。少しでも話のネタになればと、地元で愛される銘菓『かもめの卵』を用意しました。すると
「これは、大船渡の一番のお土産なんだよ!私はいいから、お姉さん今に(あとで)食べなさい」
という会話も聞かれ、お茶っこから少しずつ笑顔も見られるようになりました。
空飛ぶ捜索医療団が届けるのは、医療支援だけではありません。状況が大きく変わらず不安だけが募っていくなかで、どうすれば避難者の方々の心を休めることができるのか。すべては避難者と被災地のために、支援を続けていきます。
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