JOURNAL #4382025.05.23更新日:2025.05.23
広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
3月21日に韓国で山火事が発生し、被災者の方々が身ひとつで避難してからすでに2カ月が過ぎました。自治体ではさまざまな山火事被害からの復旧作業が続けられており、ピースウィンズが主に活動している盈徳(ヨンドク)郡被災地では、6月初旬に被災者の仮住宅への入居が予定されています。
一方で時間が経つにつれ、被災地の中では軋轢の兆しが現れ始めています。被災者の基準に関する葛藤、村同士の問題、物資配分に関する対立、自治体との緊張、そして避難所間の微妙な対立——。
このような複雑な状況のなか、ピースウィンズはさまざまなプロジェクトを通じて、誰ひとり取り残さない支援を実践しています。特に、各村長や避難所のリーダーたちと緊密に連携し、彼らがそのコミュニティ内でリーダーシップをしっかり発揮できるよう、継続的にサポートしています。
4月17~21日、山火事被害地域で第1回となる「変化の芽便」プロジェクトが行われました。このプロジェクトは、緊急支援現場で衣類援助が画一的になりがちな課題を受けて企画されたトラックによる移動型の衣類支援です。
「変化の芽便」は、5日間で盈徳郡内の避難所となっている、公民館やモーテルなど全17カ所を回り、約850名の被災者に衣類を届けました。被災者の方々がそれぞれの必要性や好みに合わせて品物を選べるよう、トラックには華やかな花柄の服、カラフルなストライプのTシャツ、季節の変わり目にぴったりな軽いジャンパーまで、さまざまな色やサイズの服、下着、靴下などの必要な衣類をたくさん積み込みました。
今回の活動に参加してくださったボランティアの方々には浦項(ポハン)地域の方、ソウルから遠くまで駆けつけてくださった方もいました。ボランティアの皆さんはピースウィンズと共に、被災者一人ひとりの目を見ながらぴったりの服を一緒に選び、温かい気持ちを分かち合いました。
ある被災者のお年寄りは服を選びながら、「心も目も満たされました。ありがとうございます」と涙を流していらっしゃいました。多くのものを失った状況にもかかわらず「心が満たされた」というその言葉が、私たちの活動の力になりました。
ピースウィンズは「変化の芽便」を届けながら、被災者一人ひとりの足のサイズを聞いていました。これは「変化の芽便」第2回で、長靴と靴を支援するためです。
あえて「長靴」と「靴」を選んだのには、理由があります。
盈徳(ヨンドク)にお住まいのお年寄りの多くの生業は農業です。春が訪れ再び畑に出る季節になりましたが、被災した今、以前のように畑仕事を行う日々に戻るのは容易ではありません。
被災者にとって、畑は単なる仕事以上の意味を持ちます。生活のリズムを生み出すものであり、人生のやりがいであり、生きる理由でもあるのです。しかし現実は、慣れない環境を耐え忍ぶ避難生活が2ヵ月以上続いています。私たちの願いは、被災者の皆さんが再び畑に出られる日常を取り戻すことです。
そして私たちは、その第一歩が長靴と靴になり得ると信じています。長靴と靴は畑仕事に欠かせない道具であり、再び立ち上がる希望と意志の象徴でもあるからです。
一人ひとりの足にぴったり合う長靴と靴が、再び人生に向かって力強い一歩を踏み出すきっかけになることを願っています。
ピースウィンズは、心理治療センターと協力し、心理支援プログラム「ハンズ・オン・ピース」を現在4つの里で進めています。
2022年の山火事後にも実施され、被災者の方から好評を得ていたこのプログラム。被害を受けた人々の心を少しでも癒そうと、再び始まりました。
一瞬にして生活のすべてを失った被災者の方々は、怒り、絶望、あきらめ、恨みなど数えきれないほどの感情の渦に襲われています。「ハンズ・オン・ピース」は、その重い心を柔らかく包み込み、共に悲しみ、再び希望を感じることができるようサポートする時間です。
また、長引く避難生活の中で心身にたまった緊張をほぐし、内面の感情を自然に表現して発散するための機会でもあります。
私たちは各村の公民館を一カ所ずつ巡り、被災者の方々の話に耳を傾け、必要なものを直接調査しています。
その情報をもとに4月、私たちは被災者が生活する盈徳(ヨンドク)郡内の7つの公民館に、生活に欠かせない物資を支援しました。炊飯器、電子レンジ、電気ポット、掃除機などの家電製品をはじめ、洗濯用洗剤や柔軟剤などの生活用品、そして調理器具やさまざまなキッチン必需品を届けました。
山火事被害地域の支援は今、緊急時から生活再建の段階へと移っています。しかし、時間が経つほどメディアの関心も薄れ、被災者の苦しみはだんだん見えにくくなっています。
こんなときこそ、より一層必要なのは持続的な関心と継続的な支援です。今、皆さまの温かな思いが、被災者の希望の灯火となるのです。今回の大規模な山火事で被災された方々が日常を取り戻すまで、私たちは寄り添う支援を続けていきます。
空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”は、韓国で起きた山林火災による被災者を救うための支援をおこなっています。みなさまからのご寄付が活動の力となり、被災者の命を救い未来につながります。災害で苦しむ人びとのために、あたたかいご支援をお願いいたします。
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空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
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