JOURNAL #3182024.03.08更新日:2025.08.29

防災の日2025年|災害から学び、未来への備えを万全に

広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

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「防災の日」と「防災週間」は過去に発生した自然災害を受けて、日頃の備えを見直す絶好の機会です。災害から学び、家庭や地域で何を準備すべきか考えることが大切です。この記事では、防災の日の背景や意義をわかりやすく解説し、自治体や企業、個人が取り組める具体的な備えや計画を紹介します。未来への安全対策を、日常に取り入れるヒントとしてご活用ください。

防災の日とは?

「防災の日」の由来や目的を知ることで、防災に対する意識や姿勢が高まります。ここでは「関東大震災」と「防災の日」の関係、「防災週間」、「津波防災の日」などについて解説します。

関東大震災と防災の日

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関東大地震により甚大な被害を受けた東京駅前の焼け跡、日本橋方面(出典:気象庁|関東大震災 写真集

防災の日は1960(昭和35)年に定められました。9月1日が防災の日とされた背景には、1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災があります。この震災では死者・行方不明者数は105,000人を超え、建物等の被害も甚大であったため、災害への備えが喫緊の課題となりました(*1)。

また、防災の日が制定された1960年の前年、9月26日には伊勢湾台風が上陸し、広範囲に被害をもたらし、死者・行方不明者は5000人を超えました。(*2)

これらの出来事が背景となり、政府、公共機関、国民一人ひとりが地震や風水害について認識を深め、その備えを行う必要性が強調されました。防災の日は、防災対策の充実と強化を図り、被害を未然に防ぐための取り組みが行われる日なのです。

*1)NHK|関東大震災とは? 被害の特徴・メカニズム・教訓は?
*2)NHK|伊勢湾台風とは?犠牲者5000人超「暴走木材」が街を襲った

防災週間の実施時期

防災の日についての画像です。

1982(昭和57)年からは、防災の日を含む一週間が「防災週間」として定められました。1983年(昭和58年)以降は毎年、防災の日を含む8月30日から9月5日までの期間とされています。

防災週間では関係諸機関の緊密な連携のもとで、防災訓練の準備や実施、防災に関する知識を普及するための活動、展示会の開催、防災功労者の表彰などが行われます。

津波防災の日もある

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東日本大震災で津波被害を受けた、気仙沼・鹿折地区

防災の日のほかに「津波防災の日」が11月5日に制定されています。津波防災の日は、2011年の東日本大震災を教訓として「津波対策の推進に関する法律(2011年6月)」によって定められました。

11月5日とする背景には、過去に発生した「安政南海地震」(1854年安政元年11月5日)があります。この地震によって和歌山県には大きな津波が襲いました。

その際、醤油屋で地元の村出身者、濱口梧陵(はまぐち・ごりょう)が、暗闇のなかで逃げ遅れた人々を「稲むらの火(わらの山に火を放つ)」によって高台に誘導して避難させたといわれています。そののち濱口は、村を守るために4年の年月をかけて、高さ海抜5m、奥行(底辺)20m、全長600mという大きな防波堤の建設に携わりました(*3)。

*3)NHK|「津波から村を救ったリーダーたち」磯田道史さんが語る 災害と闘った日本人の知恵

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広川町役場前の「稲むらの火広場」にある浜口梧陵の銅像(Wikipedia – 稲むらの火

80年以上経った1946(昭和21)年には和歌山県沖で「昭和南海地震」が発生し、その地震による津波から村を救ったのが防波堤でした。

これらのエピソードにちなんで制定されたのが「津波防災の日」です。さらに11月5日は、2015年の国連会議でも満場一致で「世界津波の日」と制定されました。

津波による被害を軽減するためには、防波堤などの事前対策と迅速かつ適切な避難が重要とされます。一人ひとりが津波の特性を理解し、命を守るための行動をとることが何より大切です。

【関連記事】津波に備える|津波から命を守るために知っておくべき備えと避難行動~3.11の記憶と教訓~

静岡県には「地域防災の日」も

静岡県では毎年12月の第1日曜日を「地域防災の日」に指定しています。これは1944(昭和19)年12月7日の「東南海地震」、1983(昭和58)年の「日本海中部地震」による被害を教訓にして、1986(昭和61)年に静岡県防災会議で定められました。

地域の自主防災組織が中心となって訓練しており、毎年県によって「静岡県地域防災訓練実施要領」が示されます。 地域の防災力を向上させるために行うもので、実施期間は11月下旬から「地域防災の日」までの約10日間です。

「地域防災の日」当日は、地域の特性やさまざまなリスクを踏まえつつ、地域住民の安全と地域防災力の向上につながる包括的な訓練計画が実施されます。

防災の日に実施される訓練

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防災の日には各関係機関が防災への意識を高め、各種団体や個人を啓発するとともに、災害時に迅速な避難が行えるよう具体的な訓練を実施します。

ここでは、自治体や企業などが防災の日に実施する防災訓練について解説します。

自治体が取り組む防災訓練

内閣府が提供している防災情報のページ(HP)には『令和5年度「防災週間」及び「津波防災の日」について』が紹介されています。

国、地方公共団体等に対しては、災害応急対策から復旧・復興までの対策を迅速かつ円滑に行うことの必要性や具体的な方針が示されています。

防災の日を含む防災週間に実施する行事は以下のとおりです。

  • 地域の災害リスクや実情を踏まえた避難訓練の実施
  • 防災気象情報を踏まえた訓練の実施
  • 警戒レベルに関する理解を住民等に周知徹底
  • 災害時の防災活動の実施
  • 防災に貢献した団体や個人への表彰
  • 防災意識の向上や普及、啓発に関する活動
  • 防災に関する広報活動、防災マップの配布

このほかに、地域や企業、個人に対する防災意識の向上や普及、情報と対策の周知徹底が含まれます。また、自治体は防災の日の訓練として、視聴覚障がい者や訪日外国人など配慮が必要な方々に対する円滑な避難誘導について考慮しなければなりません。

防災の日は、上記のような訓練や取り組みを通じて、災害が発生した際に「いかに迅速かつ円滑な避難ができるかどうか」を確認する日です。そして、課題や改善点を洗い出して早急に対策を講じるための重要な日として位置づけられています。

企業が実施する防災訓練

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内閣府『令和5年度「防災週間」及び「津波防災の日」について』のなかでは、企業に対する指針も示されており、関係団体や住民と連携した防災訓練の実施、情報システムのバックアップなどを求めています。

たとえば、企業では以下のような訓練が実施されます。

  • 全従業員に向けた基本的な訓練(通報や消火、応急手当など)
  • 災害発生時の避難行動訓練(経路確認や階段を使っての避難)
  • シミュレーション訓練(被害者の救助や搬送、帰宅経路の確認など)
  • 安否確認や連絡等システムの確認・訓練
  • リモートワーク下での防災対策
  • 自治体や消防等との連携・報告訓練
  • 地域住民との連携(情報提供や協力の確認・訓練)

企業の場合は、事業を継続(再開)させることも重要な目的となります。そのため、政府も企業に対して「事業継続計画(BCP)」の策定を強く推奨しています。企業は防災に行う訓練において、計画に基づいて行動できるかどうかを確認することが肝要です。

【関連記事】BCP対策とは?災害時に事業を守るために抑えるべきポイントを解説

防災の日に考慮すべきポイント【家庭や個人の場合】

防災の日には、国や自治体などが実施主体となりますが、企業や地域、住民一人ひとりが高い意識をもって防災について考え、行動することが重要です。

進んで避難訓練に参加し、世帯ごとに避難経路や非常時持ち出し用具、備蓄を確認するなど自主的に防災対策を行うことが求められます。

以下に、個人が実施する事柄について詳しく解説します。普段忙しく、なかなか準備や確認が難しい方々においては、防災の日や防災週間を利用して毎年定期的にチェックしましょう。

目的意識をもって訓練に参加する

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防災の日に各自治体や地域で訓練が行われる場合は、進んで参加しましょう。その際は、実際の災害を想定して、自分がどう行動すべきかを考えながら参加することが大切です。

防災の日を利用して、自分自身や家族の安全を守るために具体的な行動計画を立てましょう。高齢者や障がい者、子どもがいる世帯では、それぞれ災害時の対応が異なります。

また、家族が仕事や学校、通勤・通学途中の場合を想定して、各人がどう行動すべきか話し合う機会をもつことも自主的な防災訓練となります。

家庭や個人でチェックする

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普段の生活のなかで常に防災を意識したり準備物を確認したりするのは難しいかもしれません。しかし、防災の日を活用して、各家庭でチェックする時間や場を設定するのは大切な取り組みです。

以下に、内閣府が提供している防災情報のページ(HP)『令和5年度「防災週間」及び「津波防災の日」について』に書かれていたものをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

  • ハザードマップや緊急避難場所の確認
  • 災害が発生した際の場所に応じた行動の確認(学校や会社、通学・通勤時)
  • 警報や注意報等が発表された際に取るべき行動の確認
  • 家族や学校、会社等の連絡の取り方をチェック
  • 非常用持ち出し品の準備
  • 応急手当の備品確認
  • 最低1人3日分、できれば1週間分程度の食料と飲料水の備蓄や入替
  • ライフラインが途絶えた際の対応
  • ペットの同行避難や避難所での飼養等の確認や準備
  • 家具や家電製品の固定や転倒防止対策、配置の見直し
  • 建物の耐震診断や補強の実施、自治体の助成制度の確認
  • ブロック塀等の安全点検
  • 地震火災保険の加入状況のチェック
  • 感震ブレーカー等の設置など出火の予防対策
  • 防災アプリのダウンロード

非常に多くの項目が提示されていますが、各世帯や個人で上記の内容を確認しましょう。あらかじめチェック表を作成して、防災の日に忘れずにチェックすることをおすすめします。

課題を洗い出す

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前述で紹介した内容をもとにして、各家庭における課題をリストアップしましょう。たとえば、以下の取り組みを参考にしてみてください。

【備蓄】を確認する

備蓄については世帯の人数に応じて揃える必要があり、足りなければ買い足します。また、防災の日を利用し、備蓄している食料や飲料水の賞味期限を確認したり、必要に応じて入れ替えたりしましょう。

【安全点検】を確認する

家具の固定や外塀などの点検も重要な要素です。1年経つと状況が変わっている可能性があります。定期的にチェックするのが難しい場合であっても、防災の日には必ず点検しましょう。

【保険】を確認する

「地震保険に加入していると思ったら火災だけだった」といった家庭があることも予想されます。自然災害はいつどこで発生するかわかりません。被災して「地震保険に入っていなかったことに気づいた」とならないよう、更新時期だけでなく防災の日に必ず保険を見直すなど、念には念を入れましょう。

以上のように、防災については「多分、大丈夫だろう」という姿勢はリスクになると考えられます。「もしかしたら」と考え、課題がないように見えても「あるかもしれない」といった姿勢で防災の意識を高めていきましょう。

改善するための行動につなげる

企業に事業継続計画があるように、家庭においても具体的な行動計画を作成することもより良い取り組みです。

課題や改善点が見つかった場合は、できるだけ早く対策を講じましょう。行動に移すことが肝要です。たとえば、寝たきりの家族がいる場合、近くに倒れそうな家具がないか確認し、あれば別の場所に移動したり移動が難しい場合は家具の固定を万全にします。

単身の高齢者世帯で、避難の際に1人では難しい場合、近所の方や離れて住む家族との連絡方法を伝えておくことも必要な行動の一つです。

課題を見つけても、そのままにしておけばおそらく来年の「防災の日」まで、何もせずに終わってしまうでしょう。これを回避するには「〇日までに〇〇を用意する」のように具体的なタイムリミットを設定すると行動に移しやすくなります。

また、ブロック塀の撤去や補修、感震ブレーカーの設置など、気になる課題があれば自治体や信頼のおける関連業者に相談することも適切な行動の一つです。とくに単身高齢者の方は、近隣の知人や家族など信頼のおける人に相談するなど、1人で抱え込まないように注意しましょう。周囲の人が気にかけてあげることも重要です。

防災の日2025年の意義と取り組み

2025年の「防災の日」は、9月1日(月)、防災週間は8月30日(土)から9月5日(金)です。過去の大地震から学んだ教訓を忘れず、私たち一人ひとりが日常の備えを見直す大切な機会です。ここでは、2025年版の防災の日に向けた意義と具体的な取り組みを紹介します。

終わっていない災害|令和6年能登半島地震から学ぶ

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2024年1月1日に発生した能登半島地震は、発災から1年半以上経った今もなお復旧途上にあります。断水・停電・ガス停止が広範囲で生じ、完全復旧には5〜7か月を要しました。避難者は当初1万人以上にのぼり、公費解体やインフラ復旧が進む一方で、住宅再建や生活再建は大きな課題です。

犠牲者656人のうち関連死が428人(令和7年8月)と過半を占め、人口減少も進みました。災害は一度起きて終わるものではなく、その後も長く影響が続くことを私たちに伝えています。

自助を徹底する

災害対策は行政任せではなく、まず「自分と家族の命をどう守るか」が出発点です。大地震ではライフラインが途絶し、道路も寸断される可能性があります。水や食料を最小限でも確実に備蓄し、避難先をあらかじめ考えておくことが大切です。

【備えておきたい具体例】

  • 水や食料などの備蓄(できれば1週間分)
  • 親戚や知人宅などの避難先の想定
  • 子どもや高齢者、ペットを含む家族の持ち出し品や移動手段の準備
  • 地震・津波・台風・火山噴火など、災害ごとの必要品や避難タイミングの確認
  • 家族で役割分担を決め、一人で避難する場合も含めた計画
フェーズフリーについて説明しているイメージ画像です。

日常生活に防災を取り入れる「フェーズフリー」の考え方を意識すると、災害時もスムーズに行動できます。災害の被害をできるだけ抑える備え(減災)については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

【関連記事】減災とは?防災との違いや重要性、個人でできる備えやARROWSの減災の取り組み事例を解説

住宅の耐震化をチェック

国は住宅の耐震化率を令和5年度末で約90%と推計しますが、実際の補助実績を基にすると南海トラフ被災想定地域では10ポイント以上低い県もあり、実態との乖離が指摘されています。数値の安心に頼るのではなく、家の安全を確保するために点検や改修を真剣に検討する姿勢が不可欠です(*4)。

水道・ライフラインの脆弱性を知って備える

令和4年度末時点で、水道施設の耐震化率は基幹管路42.3%、浄水施設43.4%、配水池63.5%にとどまり、依然として低水準です(*5)。さらに今年1月には埼玉県八潮市で下水道管破損による大規模陥没が発生し、約120万人に使用自粛要請が出されました(*6)。私たちが直接改善できる分野ではありませんが、国や自治体の取り組みを注視しつつ、非常時を想定した備蓄や避難計画を整えておく必要があります。

正しい情報を見極める

災害時に落ち着いて行動するためには、日頃から正しい情報に触れる習慣が大切です。防災情報や気象情報を定期的に確認し、デマや根拠のない情報に惑わされないようにしましょう。住んでいる地域のハザードマップや過去の災害、警報や注意報の意味を理解して家族で共有することで、必要な情報を見極めやすくなります。こうした準備が、いざという時の迅速で適切な避難につながります。

*4)国土交通省|住宅・建築物の耐震化の現状と目標
*5)厚生労働省|水道事業における耐震化の状況(令和4年度)
*6)国土交通省|埼玉県八潮市で発生した大規模な道路陥没を踏まえた下水道管路の全国特別重点調査の実施について(提言)

まとめ

防災の日は、能登半島地震など過去の災害から学び、日常の備えを見直す大切な機会です。備蓄や住宅の耐震化、水道やペット同伴避難など、家庭ごとに課題は異なります。まずは自分や家族の命を守ることを出発点に、家族で役割を分け、避難や備蓄の計画を立てましょう。自治体や地域と協力しながら、日頃の小さな準備を積み重ねることが、災害時の安心につながります。

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空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

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