JOURNAL #2702023.10.24更新日:2023.11.29

フェーズフリーとは?非常時もいつも通り生活するために

広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部

フェーズフリーとは「平常時・非常時ともに利用できること」を表す言葉で、大規模な災害が多い日本で現在注目されている考え方です。今回の記事では、フェーズフリーの概要から具体的な取り組みまでご紹介しているので、ぜひ取り組みの参考にしてみてください。

フェーズフリーとは

まずはフェーズフリーの概要からご紹介します。

言葉の意味

冒頭に記載した通り、フェーズフリー(Phase Free)とは平常時・非常時を問わず利用できることを意味します。平常時と災害時というフェーズ(段階や状況)の区分けをなくし、日常的に利用している商品やサービスを、そのまま災害時にも利用できるようにするという考え方です。

フェーズフリーについて説明しているイメージ画像です。

具体的な取り組みについては後半でご紹介しますが、例えば、缶詰など賞味期限の長い食べ物を非常食として多く購入しておく・非常時にベッドとして利用できる衣装ボックスを利用する、などの方法があります。

災害大国だからこそフェーズフリーが重要

ご存じの通り、日本は地震やそれに伴う土砂災害、洪水などが頻発する災害大国です。また、南海トラフ大地震などの大規模な災害が数年以内に発生することも想定されています。したがって、いつ発生するかわからない災害に対して各自が常日頃から備えておくことが求められますが、普段の生活がある中で、いつ起こるか分からない災害への備えをすることは簡単ではありません。

フェーズフリーでは災害に向けた特別な備えを必要とせず、日常生活を送っているだけでも非常時の対応が可能になるため、手軽な備えとして注目されています。また、都心部など、部屋の面積が広くなく収納の少ない家庭でも取り入れやすい概念でもあります。

非常時も、いつも通りの生活ができるように

フェーズフリーを取り入れるメリットの一つとして、災害時も平常時と同じような生活を送ることができるという点があります。普段から目に入るところに備品を置いておくことで在庫を把握しやすかったり、既に使い慣れているものであれば使い方や開封方法が分かりやすかったりするためです。

また、食べ物や電池などの消耗品は日常的に利用していく中で必然的に循環していくため、備蓄品の賞味期限切れや利用期限切れを防止できること、非常時にしか使わないものをわざわざ買ったり置いたりする必要がないこともメリットと言えます。

フェーズフリーとして利用しやすいもの

フェーズフリーという言葉の定義は正確には定まっておらず、解釈によって該当する商品も変わってきますが、一般的にフェーズフリーに用いられている製品には以下のようなものがあります。

食料|缶詰やレトルト食品など

防災に役立つ概念である「ローリングストック」を取り入れることで、食材もフェーズフリー商品として扱うことが可能になります。ローリングストックとは、災害時に備えて一定量の食品を備蓄として抱えておき、その中で消費と購入を繰り返していく方法です。備蓄を消費し、消費した分だけ購入する、という循環をしていくことで、非常時にある程度の食料が残った状態を作ることができます。

具体的には、食べ物の中でも特に“賞味期限の長いもの”“常温保存ができるもの”がフェーズフリーに最適です。例えば、ツナ缶やトマト缶などの缶詰や、パスタ麺などの乾麺、カレーなどのレトルト食品などが挙げられます。
また、ガスが止まってしまった時に備えて、カセットコンロ・カセットボンベを持っておくこともおすすめです。

アウトドア用品|ランタンや寝袋など

登山やキャンプなどの趣味を持つ方であれば、趣味に利用している道具を非常時にも役立てることができます。例えば電気が止まってしまった場合にランタンを灯りとして利用する、自宅からの避難が必要になった場合にテントと寝袋で寝泊まりをする、などです。
細かいもので言えば、携帯用のナイフや救急セットなども、移動が多くなりがちな非常時には便利です。

電気自動車

すぐに取り入れることは難しいかもしれませんが、車も非常時に役立てられる物品の一つです。蓄電池で充電ができる電気自動車の中には、通常時は移動に使用していた電気を災害発生時に利用できるものがあります。自動車に貯めておいた電気を自宅に繋ぐことで照明などの電気として利用したり、エンジンの作動によって発電機として利用したりすることができます。

アート

一般家庭では取り入れづらいものですが、アートを用いたフェーズフリーもあります。例えば過去の記事でもご紹介した以下の渋谷の矢印アートは、通常時はアートとして楽しみつつ、非常時には避難所までの道案内をしてくれる標識として利用することができます。

渋谷の矢印アートの画像です。

フェーズフリーの取り入れ方

当然ではありますが、防災備品をフェーズフリーとするには”通常時も利用できること”がポイントになります。上段でご紹介した項目以外にもフェーズフリー商品は多く存在しますが、使う機会がないものを買ってしまっては意味がありません。以下のような観点で、用意すべき品目を考えてみてください。

  • 自身のライフスタイルに合っているか
  • 家族の人数に合っているか
  • コンタクトや薬など、自分だけに必要なものは何があるか
  • 今持っているものの中で、フェーズフリーに切り替えられるものはないか
  • 自宅近くの避難所で生活するにあたって、何が必要になりそうか

避難場所や居住地域によって、避難所の設備や生活方法は異なります。最後の項目については、付近の避難所の情報を収集し、必要なものを考えてみてください。

身近なところから防災に取り組む

フェーズフリーは、災害の多い日本で暮らすにあたって非常に有益な概念になります。個人でも取り入れることのできる身近な防災対策なので、防災備品の購入を検討されている方は、ぜひフェーズフリー商品の購入を検討してみてください。

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