JOURNAL #3222024.03.22更新日:2024.03.26
能登半島での大規模地震発生から2ヵ月半が過ぎました。人々の日常生活は、どこまで戻ってきたのでしょうか。今回は、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”のメンバーが支援活動を行っている石川県珠洲市より、現地の様子と私たちの支援活動についてお伝えします。
今回の災害では、地盤の隆起などによる道路の損傷が激しく、当初、金沢市から奥能登に位置する珠洲市までは本来なら車で2時間半ほどの道のりに約6時間近くかかっていました。その後、修復作業が進み、寸断されていた道路も開通されるようになり、現在はおよそ3時間程度で行き来ができます。
依然として一部通行止めになっていたり、車線数や速度が制限されたりしている箇所もありますが、所要時間が大幅に短縮され、災害ボランティアを輸送する支援車両などがよりスムーズにたどり着けるようになったことは、大きな変化です。
こうした陸路が復旧したことによって郵便や宅急便などの配達サービスも再開。珠洲市宛の荷物も一部運送事業者で受付ができるようになりました。
市内で約4,800戸が断水した珠洲市では、3月10日にようやく一部地域で水道が復旧しました。しかし、多くの家ではいまだ水が出ない状況が続いています。各戸の通水を実現するには、上下水道だけでなく、屋内配管の損傷まで修復する必要があり、市内全域が復旧するまでにはまだまだ時間がかかるといわれています。
空飛ぶ捜索医療団の現地支援活動の責任者を務める橋本笙子は、今回の災害を困難なものにしている最も大きな要因は、この「水の問題」だと指摘します。地震によって上下水道が破壊され、発災から2ヵ月半がたった今もなお市内の大部分で水道から水が出ないという状況は、長年災害支援に携わってきた橋本でも経験がないほど厳しい状況です。
日頃は当たり前のように使い、あまり意識することのない水道ですが、水が使えないと、どのような問題が生じるのでしょうか。
まず、困るのがトイレです。水が流れないため、トイレにビニール袋を被せ、汚物は自分たちで捨てる簡易トイレを使用したり、避難所の外に設置された仮設トイレで用をたさなければならない生活が現在も続いています。
この汚物を固める凝固剤などが入った災害用トイレキットは、支援物資としても数多く被災地に届いていますが、1人が1日に何回も使用するため消費も早く、供給が十分に追いついていない状況です。
また、雨や雪が降っている日や、真っ暗な夜間などに外の仮設トイレに行かざるを得ない状況は、心理的にも大きな負担になります。ライフラインのなかでも水道の復旧は急務とされていますが課題が多く、今だ復旧の目途がたっていないのが実情です。
避難生活が長期化するなか、お風呂やシャワーなども大きな問題となっています。空飛ぶ捜索医療団は、民間企業と連携し、1月5日には珠洲市での給水支援を開始しました。こうした給水を活用して、被災地では自衛隊がお風呂支援を実施したり、民間支援団体による無料シャワーなどが提供されたりしています。
自衛隊のお風呂は、銭湯のように洗い場と広い湯船がある本格的なもの。夜間など特定の時間帯には支援関係者にも開放されています。避難者にとっても支援者にとっても欠かせない支援になっていますが、待合テントで順番を待ってから入り、寒いなか帰らなくてはいけない仮設のお風呂は、いつでも気兼ねなく入れる自宅のお風呂とはやはり異なります。
水道の水が自由に使えない状況は、食にも大きく影響します。現在も各地から炊き出し支援が集まっているほか、避難所の方々が共同で煮炊きをしていますが、調理器具を洗ったり、水洗いが必要な生鮮野菜などを自由に調理することがままならない状況です。
そこで空飛ぶ捜索医療団では、避難所での共同炊き出し用に水洗いが少なくてすむ野菜を届けたり、キッチンカーによる炊き出しを受け入れる調整を行ったりしています。
珠洲市内でも、コンビニやドラッグストア、スーパーマーケットなどが営業を再開し、多くの人が訪れています。ただし営業できるのは、「応急危険度判定」で安全性が確認された建物のみ。こうした被害状況が小さく、二次災害の可能性が低いと判断されたコンビニでも、現在は9~18時など時間に制限を設けて営業している店舗が多く、また品揃えは少な目でお弁当の棚などはお昼を待たずに空になってしまうことも。
一方で空飛ぶ捜索医療団も含めた外部の支援団体は、被災者の支援とともに地元経済の復興を後押しすることも考えていかなければなりません。発災直後の緊急期のように、全ての物品を無償提供する物資支援の方式は、再開した地元の商店などの営業を阻害しかねません。
少しずつ市内事業者が動き始めている現在は、人々の生活とともに停滞していた地元経済も再生させるために、原則として食品や生活用品の受け入れを停止するなど、地域全体の復興を見据えた支援活動が求められています。
今なお1,000人以上が避難所での生活を余儀なくされており、仮設住宅の建設が始まっていない地区もありますが、2月上旬から珠洲市でも仮設住宅への入居がスタートしました。空飛ぶ捜索医療団では、被災者された方々が新しい環境をはじめるにあたって必要な生活家電を準備する入居支援に取り組んでいます。この支援のほか、今後は地元の医療機関の再開を促進するために医療資機材の支援なども行う予定です。
空飛ぶ捜索医療団は、これからも能登の人々と地域に寄り添い、未来を見据えた必要な支援を、必要な人に届けていきます。
▽空飛ぶ捜索医療団“"ARROWS"
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