JOURNAL #3542024.07.12更新日:2024.07.26

【感染症関連事業】アフリカ最貧国ブルキナファソ 約200万の感染患者に “一筋の希望”

「この国は赤くて若い」

初めてアフリカ大陸に足を踏み入れたスタッフ榛田は、車窓を流れる景色を眺めながら興奮気味に語ります。気温約40℃。若者のパワーに溢れた大地には赤土が舞い上がり、強烈な日差しが肌を突き刺します。


ここは西アフリカの知る人ぞ知る国 “ブルキナファソ”

世界最貧国の1つであるこの国は今、テロ攻撃の脅威に晒され軍事クーデターが続くなど、大きく揺れ動いています。国民が貧困に喘ぐ現実とは裏腹に、情勢不安や治安の悪化に伴い、世界からの支援はむしろ減少する一方。「正直この国は ”ないない尽くし” なんです。 医療も教育も職も、あらゆるものが足りていない」現地を知る人はそんな本音を漏らしました。

現在ブルキナファソを含めアフリカ大陸全体が抱える課題の1つが「感染症問題」です。

医療システムが整っていない、国民に治療を受ける金銭的余裕がない、そもそも検査/診療への意識啓発が進んでいない… この国が抱える貧困問題は、多くの人の命を奪っています。それも本来先進国であれば命を失うことのない病で…

コロナ禍を経て世界中が感染症に関心を寄せていながら、実質世界で2番目に多くの死者を出している感染症に私たちは未だ無関心です。その感染症の名は「ウイルス性肝炎」。

B型肝炎やC型肝炎ウイルスが静かに肝臓を蝕み、やがて肝硬変や肝がんの引き金となる、恐ろしい病気です。日本でもかつては国民病として人々を苦しめてきた病でしたが、新たな治療法が登場し、世界は肝炎を克服する術を手に入れた “はず” でした。

その恩恵にあずかれないのが、今のアフリカの抱える問題です。

今回、ピースウィンズはブルキナファソにおける肝炎対策に光を当てるべく、日本でも使われる肝炎検査機器を寄贈し、現地の検査体制の拡充、啓発活動の推進を目指します。日本からも医師看護師を含めたチームが5月末に現地入りし、医療者への技術指導や肝炎対策の取り組みについて培ってきた日本のノウハウを伝えています。


ピースウィンズ肝炎対策事業のリーダーである榛田は現地に着いてこう語りました「ついにブルキナファソの土を踏むことができ “日本にもまだできることがある” と確信しました。かつて肝炎で苦しんでいた時代とは違って、日本をはじめ先進国では、今は検査方法も治療法も確立している。それでもなお、この国の患者はまるで30年前の日本と同じように苦しみ、悲しみ、命を落としている。そんなのあまりに “理不尽” じゃないですか。日本には技術もノウハウもある。それを伝えることが私たちにはできるんです」

現地チームは現在、肝炎対策を実施している現地団体や関係省庁を訪問し、この国での長期的な活動を見据えた関係作りを進めています。

遠く離れた国であっても、そこにいるのは日本と同じ苦しみを共有する同じ病の患者です。目の前の1人の命と向き合うことから、感染症という大きな問題にチャンレンジする、新しい一歩を私たちは歩み始めています。皆さまからの温かいご支援を、よろしくお願いいたします。

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