JOURNAL #3562024.07.14更新日:2024.09.10

【感染症関連事業】日本が寄贈した検査機器が、アフリカ最貧国の診療所で活躍!

【実録】肝炎と戦う日本人医師〜ブルキナファソから肝炎を無くしたい〜

昨年12月27日、西アフリカの最貧国ブルキナファソに日本からとある検査機器が寄贈されました。この国で大きな問題になっているウイルス性肝炎に一矢報いる第一歩、治療へのアクセスを改善する上で大きな武器となりうる「フィブロスキャン」です。持ち運びできるサイズで、肝臓の硬さ (=肝硬変の進行具合)をその場で調べることができ、しかも痛みはなく患者への負担も少ない。肝炎診断の強い味方です。


※ 写真右 : 日本の病院でフィブロスキャンが使用されている様子

クラウドファンディングなどを通してブルキナファソの国立ムラズ研究所への寄贈が実現したフィブロスキャンは、現在、現地NGO・患者団体の診療所で活躍しています。

この日、提携患者団体SOS Hepatitesでは、地元市場での検査キャンペーンと、診療所での無料診断キャンペーンを実施しました。

ブルキナファソでは自覚症状のある人が診療所を訪れて検査を受けることが一般的ですが、ウイルス性肝炎の場合は症状が出てからでは既に手遅れのケースも多いため、SOSでは街や市場に出て行って症状のない人にも声をかけ検査を実施します。

実際にこの日は41名が抗原検査を受け、2名の陽性が判明しました。陽性者には団体スタッフが適切なフォローアップを行い治療に繋げます。既に感染が判明している人に対しても、診療所で無料のフィブロスキャン診断を行い、経過観察や今後の治療に関する啓発活動を実施しました。

「話には聞いていたけど、思った以上にブルキナファソの医療従事者は真面目で几帳面です。きちんと機器も使えているし、数値入力や測定結果の読み方も適切。これなら安心してこの機械を託せますね!」フィブロスキャンを操作する現地医師を見ながら、ピースウィンズの稲葉医師は少し驚きながらそう言います。

一方で医師と機械だけがあっても、この病気がなくなる訳ではないと実感したのも事実。検査を受けに来た患者の1人はこう話します。

「私は以前、B型肝炎と診断されましたが、診察や薬を続けるにはとてもお金がかかる。結局私も途中で薬をやめてしまいました。今回は無料キャンペーンということで来たけれど、検査や治療を継続するのは正直難しいんです。HIVの検査/治療は補助が出るのに、なんでB型肝炎にそれはないのか…」

この国で、そしてアフリカ全体で蔓延するウイルス性肝炎を排除するためには、最終的にはより大きなムーブメントを社会全体で促す必要がありそうです。しかしその一歩も目の前の患者を支えることから始まります。幸いなことに、今回お話を聞かせていただいた患者さんは、この日の検査で肝臓の数値が改善していることが判明しました。その結果を伝えた時の彼女の笑顔、それは現場に居合わせたチームにとって大きな意味があります。

「治療ガイドラインなんかを見れば、フィブロスキャンはあくまで重症者を発見するためのモノなんですよ。でもこの機械は逆に病状の改善を伝えることもできるんです。数値で見れるから ”大丈夫だよ” ってちゃんと言ってあげられる。それは患者にとっては、めちゃくちゃ勇気と希望を与えるものなんじゃないですかね。こんなにも人を笑顔にできるんだって感動しました」
肝炎プロジェクトを率いるリーダー榛田と稲葉医師は、ようやく動き出したアフリカでの肝炎対策に思いを馳せながら、少し目を潤ませてそう話しました。

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