JOURNAL #2712023.11.08更新日:2024.01.21
広報:空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
空飛ぶ捜索医療団では、いつ起きてもおかしくない災害に備えて毎月定期訓練を実施し、対応力の強化・向上を図っています。今回の訓練の舞台は、6月に愛媛県今治市にて就役式をしたばかりの災害医療支援船「Power of Change」です。
本記事では、船上での訓練に関する概要と、訓練に参加した医師に密着した際の様子についてご紹介します。
訓練の様子は動画でもご覧いただけますので、以下もぜひご確認ください。
※Power of Changeに関する詳細は、【災害医療支援船】就役披露式を開催─Power of Change 120日の軌跡─をご覧ください。
船上での活動は、陸での活動と異なる点が多くあります。したがって、医療船に限らず船上で業務を行う船員たちには、STCW訓練という訓練への参加が国土交通省によって義務付けられています。
STCWは“International Convention on Standards of Training, Certification and Watchkeeping for Seafarers”の略称で、小難しく感じますが、船員が船上で業務をするにあたって必要となる、最低限の知識や技能について学ぶよう定めたものです。
大型船を操縦したり、船上で危険物の取扱いを行ったりする船員が対象で、航海に関する国際的なルールづくりを行なっている国際海事機関(IMO)によって策定された世界的な規格です。
対象となる船員は、以下の訓練項目を受講する必要があると定められています。
項目を見ていただければ分かるとおり、基本的には緊急時の安全確保のための訓練になります。
例えば太平洋の真中を航海中に船舶火災が発生した場合、陸上と違い、すぐにその場から避難することは困難です。海上という特殊な環境で問題が発生した際に安全に対処するため、必要不可欠な訓練と言えます。
STCWの規格内容や参加対象者についての詳細は、国土交通省のSTCW基本訓練についてのページを参考にしてみてください。
今回空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”が行った訓練では、ARROWSの活動枠外である患者の搬送を除き、STCW訓練の項目に沿った訓練を5日間に短縮して実施。具体的には、船内規律の勉強、非常対応についての乗船者教育、傷病者搬送経路の検証などを行いました。
また、渡されたメモをもとに、各所に貼られた印を発見していく「船内ラリー」も行いました。
目的は”船内の構造・部屋の把握”で、災害発生時、被災者を船内の安全な場所へ誘導するために必要な知識になります。このように目的をもって行動することで、船内の構造を理解しやすくなります。
今回の訓練の成果として、訓練参加者全員が、乗組員の誘導なしに指定場所へ集合することができるようになりました。
船内で非常事態が発生した場合は安全確保のため指定の退船場所に集合する必要がありますが、船内は非常に広いため、緊急時にリアルタイムに連絡を取ることが難しくなります。したがって、指示を受けることなく船員全員が自立して行動できることが重要になります。
空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”は、今後も災害医療支援船を活用し、より多くの方々を助けることができるよう、設備や体制の整備を行ってまいります。
皆様からの継続的なご支援が、私たちの活動の力となります。ぜひ、以下よりご協力いただけますと幸いです。
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広報:
空飛ぶ捜索医療団"ARROWS" 編集部
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